研究課題/領域番号 |
16K06610
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
田中 貴宏 広島大学, 工学研究院, 准教授 (30379490)
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研究分担者 |
稲地 秀介 摂南大学, 理工学部, 准教授 (50612313)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 人口減少 / 気候変動 / 低未利用地 / GIS / 都市高温化 / 災害リスク / シナリオ作成 |
研究実績の概要 |
都市づくりの現場においても、気候変動適応(水・土砂災害リスク低減、都市高温化緩和)が求められている。一方で、我が国は人口減少時代に突入しているため、都市内に発生する低未利用空間の中で、自然に戻すべき場所を積極的・効果的に自然に戻すこと(都市内再自然化)により、有効な気候変動適応計画が可能になるものと思われる。そこで本研究では、科学的視点から気候変動適応のための再自然化指針をステークホルダーに伝えるための将来都市環境ゾーン地図集を作成することを第1の目的、地図集を利用して気候変動適応を目的とした人口減少時代の再自然化計画シナリオを作成することを第2の目的、さらに他都市にも活用可能な「気候変動適応を目的とした人口減少時代の再自然化計画指針」を作成することを第3の目的としている。 本年度は、第1の目的達成に向け、(1)「対象地の将来の地域気候予測」および(2)「将来の水・土砂災害リスク評価とリスク低減のため将来都市環境ゾーン地図作成」を行った。また、第2の目的達成のために、(3)「低未利用空間の現状分析およびそれに基づくシ土地利用シナリオ作成」を行った。 (1)では、メソ気象モデルWRFを用いて、対象地の気候分布予測を行った。(2)では、水環境学分野で提案されている評価モデルHEC-HMSを活用し、「水災害リスク低減のための『将来都市環境ゾーン地図』」を作成した。(3)では現状の低未利用地発生状況の調査を行い、その調査データをもとにGIS上で分析を行い、将来的に低未利用地発生が予想されるエリアの抽出を行った。また、その結果を活用し、将来の土地利用シナリオ作成を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定していた、(1)「対象地の将来の地域気候予測」、(2)「将来の水・土砂災害リスク評価とリスク低減のため将来都市環境ゾーン地図作成」、および、(3)「低未利用空間の現状分析およびそれに基づくシ土地利用シナリオ作成」を実施することができたため、「おおむね順調に進展している。」と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、(1)「対象地の将来の都市高温化予測とその緩和のための将来都市環境ゾーン地図の作成」、および(2)「ステークホルダー協働型シャレットWSによる対象都市の気候変動適応型再自然化計画シナリオ作成」を実施する予定である。 (1)については、本年度の成果(対象地の気温分布、湿度分布、風分布、地表面温度分布、熱収支分布)の分析を行い、将来の都市気候特性により対象地のゾーニングを行う。その後、その結果をもとに、高温化影響緩和のための都市緑化推奨地や、都市換気のための「風の道」推奨地などを表現した「都市高温化緩和のための『将来都市環境ゾーン地図』」を作成する。(2)については、対象地において、ステークホルダー協働型ワークショップ(住民、自治体、都市計画プランナー等が参加)を実施し、対象都市の気候変動適応型再自然化計画シナリオを作成する。その際に、本年度の成果(将来的な低未利用地発生予測に基づく土地利用シナリオ)を活用する。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究分担者との研究打合せ回数が、当初予定していたものから減ったため。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度、本年度の分も含め、研究分担者との研究打合せを実施する予定である。
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