現在、都市づくりの現場において、気候変動適応が求められている。一方で、我が国は人口減少時代に突入しているため、都市内に発生する低未利用空間の中で、自然に戻すべき場所を積極的・効果的に自然に戻すこと(都市内再自然化)により、有効な気候変動適応計画が可能になるものと思われる。そこで本研究では、科学的視点から気候変動適応のための再自然化指針をステークホルダーに伝えるための将来都市環境ゾーン地図集を作成することを第1の目的、地図集を利用して気候変動適応を目的とした人口減少時代の再自然化計画シナリオを作成することを第2の目的、さらに他都市にも活用可能な「気候変動適応を目的とした人口減少時代の再自然化計画指針」を作成することを第3の目的としている。 本年度は、(1)「気候変動適応型再自然化計画シナリオの評価」、および(2)「気候変動適応を目的とした人口減少時代の再自然化計画指針の提案」を実施した。 (1)については、これまでの成果として作成した将来の再自然化シナリオに対して、メソ気象モデル等を適用し、気候変動適応の視点からシナリオ評価を行った。また(2)については、一般化可能な気候変動適応型再自然化計画指針を抽出し、その整理・提案を行った。 また、あわせてここまでの実践をもとに、気候変動適応を目的とした人口減少時代の再自然化計画シナリオの作成手法(将来都市環境ゾーンマップ集の作成手法も含む)のあり方についても検証を行い、その手法の提案をあわせて行った。
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