本研究の目的は、窓に付属するカーテン・スクリーン類の熱的な性能を体系的に整理することである。開口部の日射熱取得率の評価法は,JIS A2103による計算法とJIS A1493による測定法が規格として整備されている。しかし,いずれも日射が開口面に対して法線方向から入射した場合の評価を主としており,斜め方向から入射した場合の評価法やレースカーテン等の複雑な形状の付属部材の評価法は充分に整備されていない。本研究では屋外環境下での開口部の日射熱取得率の測定方法を開発し、建物での実際の使用状況に近い環境で日射熱取得性能を評価した。最終年度は内付けスクリーン4種とレースカーテン3種を対象として、これらを透明複層ガラス窓に設置した場合の日射熱取得率を測定した。また前年までの試験体も含め計15種について測定値とJIS A 2103による計算値と比較し、両者がどの程度一致するか検証した。その結果、測定値と計算値の差は最大でも0.06であり概ね良好な値が得られた。スクリーンの光学特性と日射熱取得率との関係をみると、日射反射率が低いほど日射熱取得率は大きく、他の光学特性のなかでも日射反射率が日射熱取得率に大きく関与していることが分かった。併せて日射透過率が大きい場合でも、日射吸収率が高ければ、日射熱の流入によって日射熱取得率が増加することがわかった。アメリカのASHRAEで提案されているスクリーン生地の分類と日射熱取得率の関係をみると、同じ分類に属するスクリーンは概ね近い値を示した。レースカーテンは日射遮蔽性能が高く、特に遮熱タイプはロールスクリーンで最も日射遮蔽性能が高いものと同程度の性能が得られることがわかった。ロールスクリーンとレースカーテンの日射熱取得率を定量的に明らかにしたことは大きな成果と言える。
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