研究課題/領域番号 |
16K06616
|
研究機関 | 宮城学院女子大学 |
研究代表者 |
本間 義規 宮城学院女子大学, 生活科学部, 教授 (90331272)
|
研究分担者 |
福島 明 北海道科学大学, 工学部, 教授 (00536211)
田島 昌樹 高知工科大学, システム工学群, 准教授 (90391680)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
キーワード | 太陽熱集熱 / 基礎断熱 / シミュレーション / 真菌汚染 / リスク低減 |
研究実績の概要 |
2017年度は,以下の4点について検討した。 1点目、SAC(Solar Air Collector)の集熱特性とDCファンの特性を実験的に把握し,換気回路網シミュレーションプログラムに組み込むための近似式を作成した。2点目、SACシステムを組み込んだ3軒の住宅(札幌と東京,群馬県に立地)の長期実測を行った。冬季は暖房が稼働しているため,床下温度がほぼ20℃で安定,集熱量は相当量あっても大きな温度上昇は見られず,集熱した太陽熱が有効に活用されていることが明らかとなった。一方,6月は太陽高度と空気集熱装置の設置角度の問題から集熱量が少ないことが判明した。2017年6月は全体的に天候不順だったこともあり,設置方法などに改善が必要である。3点目、札幌の実測住宅を対象にSACシステムの経済性評価を行った。熱源単価を10円/kWhとすると,冬季回収可能な金額が約2800円で,イニシャルコスト回収に53年要することがわかった。ただし,これは竣工初年度の結果であり,地盤への吸熱量を考慮すると過少に評価していると考えられる。4点目、札幌の実測住宅を対象に,換気回路網と連成した多数室熱湿気シミュレーションを実施した。今回のSACシステムは,ハイブリッド換気システムの一部に組み込まれているため,開口の一部としても機能する。シミュレーション結果から,夏期にSACシステムを用いることにより平均0.6℃の温度上昇が期待でき, 70%RHを超える頻度が11.4%減少することが明らかとなった。 以上の成果を国際会議(Roomvent & Ventilation 2018) 論文1編,日本建築学会大会発表梗概2編にまとめた。各々2018年6月,9月に発表する。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2017年度夏期は天候不順により日射量が少ない時期のデータとなったが,このデータもシステム改善のための貴重なデータになり得る。また,周囲建物との位置関係・設置方法や経済性評価など行い,貴重な知見が得られている。シミュレーション解析も順調に進んでおり,結果として3編の成果発表も行うことができている。以上より,おおむね順調に進んでいると判断した。
|
今後の研究の推進方策 |
最終年度である2018年度は,他の地域も含めた実測データの分析と,SHE-SAC(顕熱交換型太陽熱集熱)システムを設置した実験住宅にて評価を行う。また,微生物モデルを組み込むためのモデル作成および基礎断熱床下の微生物汚染解析を行い,研究全体をまとめる予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
顕熱交換素子の試作を次年度に繰り越したため。および国際会議での発表を次年度とすることが生じたため。 2018年度は、従来の研究計画に加え、顕熱交換素子を試作したうえで宮城学院女子大学にて実験的な検討を行うことを計画している。また、国際会議で発表を行うための旅費とする。
|