研究課題/領域番号 |
16K06620
|
研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
大宮 喜文 東京理科大学, 理工学部建築学科, 教授 (10287469)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
キーワード | 可燃物調査 / 3Dスキャナ / 可燃物配置 / 区画火災 / 自由空間火災 / 放射熱 / 発熱速度 / 火災荷重 |
研究実績の概要 |
室空間内の可燃物の発熱量や表面積等は、火災性状を予測する上で必要不可欠な情報であるため、これまでいくつかの空間を対象に可燃物の重量と寸法を現地で実測する調査方法(以後、従来法とする)が実施されている。しかし、従来法は現地調査とデータ整理に膨大な時間がかかることや現地で多くの調査者が必要になるなどの課題がある。これまで、研究代表者らは、調査時間の短縮を目的とした3Dスキャナを用いた新たな調査方法(以後、3Ds法とする)を提案し2例の室空間を対象に検討したが、調査方法の確立には至っていない。そこで、1年目は3Ds法の確立を主な研究目的とし、4用途、18 室を対象に調査を実施し、結果を報告した。 2年目は、1年目の調査結果を踏まえながら出火した可燃物から隣接する可燃物へ延焼拡大する延焼時間や発熱速度の履歴などの把握を目的とした。燃焼実験はロビーチェアを1~3台並べた条件で自由空間と区画内で実施した。更に、調査結果により算出したプリンターの火災荷重が高く推定されたため、プリンター単体ごとの燃焼実験を実施し、火災性状等を調べた。一方、1年目の研究では従来法と3Ds法の調査結果から可燃物の有効発熱量を定量的に算出しそれらを比較することにより3Ds法の有効性を検討したが、3Ds法では収納された可燃物の計測が困難であるという課題が明らかとなり、収納された可燃物の収納率を実地調査し定量的な情報を把握した。 これまでの成果として、自由空間および区画内で実施したロビーチェアの燃焼実験結果、プリンターの燃焼実験結果などを日本火災学会および日本建築学会の年次大会の論文として投稿した[論文1-6]。また、3Ds法では収納された可燃物の収納率の調査結果を日本建築学会の年次大会の論文として投稿した[論文7]。他に、1年目の可燃物調査結果に基づいた設計火源のモデル化の検討を進めている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画書で示した内容に従い研究を実施した。以下に進捗状況を示す。 1.進捗状況 (1)1年目の調査結果から抽出した条件として、ロビーチェアを用いた自由空間と区画内での燃焼実験を実施した。ロビーチェアの燃焼実験結果を基に、可燃物から隣接する可燃物への延焼拡大する延焼時間や発熱速度の履歴などを計測した。(2)1年目の調査結果から抽出した条件として、硬質プラスチックで構成されたプリンター単体の燃焼実験を実施した。(3)3Ds法ではキャビネットや扉付き棚など収納されている可燃物の測定はできない。そこで、キャビネットや扉付き棚にある収納物の収納率調査を実施した。 2.今後の計画 調査結果や実験結果について、さらに考察を進めていく余地があり、今後、継続していく計画である。
|
今後の研究の推進方策 |
1年目は、3Ds法や従来法による可燃物調査を計画書に従い実施した。また、2年目は、燃焼実験や追加の可燃物調査(収納可燃物)を実施した。3年目は、これまで実施した調査結果や実験結果の考察を引き続き進める。そして、初期火災の予測方法のモデル化や可燃物の材質や寸法、配置のばらつきを考慮した設計火源の設定方法を検討する計画である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
(理由)平成30年度への繰越額が生じた研究費は、実験費として使用する計画であったが、予備的な実験条件を減らすことによって支出が少なくなったためである。 (使用計画)現在、国内や海外で開催される予定のシンポジウム等に論文を投稿しており、繰越額はこれらの研究発表のための旅費などに使用する計画である。
|