研究課題
本研究課題では、実態に応じた建築物の火災安全設計を行うために実施される可燃物調査に着目した。既往の調査方法(以降、従来法)では、対象空間となる現地の計測作業や計測後のデータ整理の作業工数が多く、調査を受け入れる側の負担などが指摘されている。可燃物調査の省力化のために本研究において3Dスキャナを用いた可燃物調査方法(以降、3Ds法)について検討を開始し、事務所、研究所、学校を調査対象として調査を実施した。また、調査結果を踏まえながら出火した可燃物から隣接する可燃物への延焼拡大性状を解明するために区画模型を使用した実験などを実施した。それらの研究結果を踏まえ、3年目は可燃物密度の集計と3Ds法を用いた可燃物調査のデータの信頼性を中心に検討を実施した。従来法と3Ds法の可燃物調査方法の比較を行い、3Dスキャナによる可燃物調査では個々の可燃物品の外寸を計測し、可燃物密度を算出するため、什器等の内部に収納される可燃物密度が過剰に算出される可能性がある。そこで昨年度の研究成果に基づいた収容率を用い、本研究で調査した可燃物に適用し従来法と3Ds法の結果の比較を行った。その結果、3Dスキャナを用いた可燃物調査結果は、用途空間における可燃物密度は、従来法と比較し概ね同値となり、調査の信頼性は確認できた。一方、通路空間における可燃物密度は、3Ds法を用いた算出結果が約1.6倍大きくなった。この結果は、本調査では通路に設置された棚は用途空間の棚と比べて、可燃物量が少ない傾向にあったため、木材換算収納率による算出では従来法との結果に差が生じたことが考えられる。
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