研究課題/領域番号 |
16K06621
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
冨田 隆太 日本大学, 理工学部, 准教授 (40339255)
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研究分担者 |
井上 勝夫 日本大学, 理工学部, 特任教授 (30102429)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 環境振動 / 衝撃振動 / 交通振動 / ゴムボール / 振動感覚 / 評価尺度 / 評価ランク |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、住宅で発生する鉛直振動を対象に、環境振動の評価基準を提案することである。対象とする振動源としては、住宅で発生する歩行などの日常動作と外部で発生し、伝搬してくる道路交通や鉄道による交通振動源である。本研究では、居住者の住環境の向上のためには、環境振動の評価基準として、「空間の絶対性能からみた振動評価」と「建築物の床の振動遮断性能からみた評価」の2種類の評価方法が必要と考えており、それぞれについて評価尺度を提案し、評価ランクを提案することを目的としている。 H29年度は、初年次に検討した、人の歩行時等を想定した床の衝撃振動に関する知見を生かし、交通振動を対象とした場合の人の振動感覚と対応の良い評価尺度の提案を行った。対象とした交通振動源としては、道路交通、在来線鉄道、新幹線とした。交通振動においても、30Hz以降の振動感覚周波数特性の検討を行い、決定周波数以外の周波数帯域も考慮することで知覚度合との対応が高まる可能性を示した。また、交通振動を対象に、振動の継続時間を考慮した物理量と振動感覚の関係について様々な検討を行い、振動知覚時間を考慮した物理量を提案し、その物理量が、不快度合と良い対応を示すことを明らかにした。これらの結果より、人の振動感覚評価と対応の良い評価尺度が提案できた。 居住者反応データ(長期居住時)についても、実建物で実施した。これらのデータは、H30年度も継続してデータを蓄積して、評価ランクの作成につなげたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実物件を対象として、物理量測定、感覚評価実験を行い、H29年度の目的である、交通振動を対象とした場合の人の振動感覚と対応の良い評価尺度の提案を行うことができた。 また、評価ランクを作成するための長期居住時の居住者反応データの蓄積も行うことができた。以上のように、H29年度の研究計画に対して、おおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
H30年度も、研究計画通り、実行していく予定である。 H30年度は最終年度であるため、これまでに実施した評価尺度の再検討を行うと共に、居住者反応データを対応させ、評価基準の作成を行う。そのため、これまで継続してきた2年間分に加えて、H30年度も居住者反応データをさらに蓄積する予定である。 評価基準及び評価ランクとしては、人の歩行等を想定した衝撃振動と交通振動を対象とした①空間の絶対性能からみた振動評価基準と評価ランク、②建築物の床の振動遮断性能からみた評価基準と評価ランクの2種類を検討する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由)H29年度についても、全体的な金額としては、おおむね予定通り執行した。前年度未使用額もあり、かつ、旅費については、おおむね執行したが、当初予定額よりも支出が少なかった。これは、実験場所が都内から近郊にあったこと等による。次年度の研究計画の中で適切に使用させていただきたい。 (使用計画)次年度も、引き続き、外部実建物での環境振動実験を計画している。振動測定に関する適切な物品購入費や成果報告も含めた交通費等に使用したい。
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