本研究は,水平振動の振動感覚に及ぼす音の影響を心理生理反応から測定した実験的研究である。実験で用いた刺激は,水平振動(左右・前後方向)による振動刺激,雑音(ホワイトノイズ)と音楽による音刺激である。水平振動と音を同等の大きさに感じる等価騒音レベルは振動レベルに比例することが明らかになった。心理反応測定の結果から,振動の感覚的強度は振動のみの条件と比較して,音を加えると僅かに減少する傾向がみられ,振動の不快感は音刺激の音量が大きくなると増加する傾向であった。生理反応測定の結果から,振動と音を同等の大きさに感じる音量よりも小さい音量を振動と同時に暴露すると副交感神経系が優位に働く傾向がみられた。
|