1.熱・換気性能の現場測定システム ほぼ実用に供せるぐらいの多数室の熱・換気性能の現場測定システムができた.本試作測定システムは最大10室対応可能である.熱測定では,各室と外気および室間の熱貫流係数,各室の相当熱容量,そして日射熱取得係数が推定できる.換気測定では各室と外気および室間の風量および各室の有効混合容積が推定できる.熱測定では各室で断続的な正弦波形の発熱を生成し室温変化をつくる.換気測定では同様に炭酸ガスボンベから断続的な波形の炭酸ガス供給を行い室濃度変化をつくる.これらの時間変化の測定値により,最小二乗法を原理としたシステム同定理論に基づく表計算プログラムSPIDSにより,前述の諸量を推定し,決定係数だけでなく測定前提の不適合率と呼ぶ指標による信頼性評価も行う.今後は,多くの実験により,最適の発熱やガス供給の仕方,さらに時系列の測定データに施すべき最適な移動平均期間等の検討を行っていく. 2.気密性能の現場測定システム 従来の,室内を送風機で加圧または減圧することによる気密性能測定法について,測定データ分析法を改良し,また自動制御の測定装置を試作した.従来は,内外差圧と風量の組み合わせを数点程度測定して相当隙間面積等を推定していたが,より沢山の測定値を得ることで,統計的に正確な相当隙間面積等を推定し,信頼性評価も行える様になった.今後は隙間の数学モデルに関しても,従来の冪乗則モデルだけでなく,物理学的に合理的な二次式モデル等の可能性を検討していきたい.
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