研究課題/領域番号 |
16K06627
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研究機関 | 長野工業高等専門学校 |
研究代表者 |
西川 嘉雄 長野工業高等専門学校, 環境都市工学科, 教授 (20513807)
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研究分担者 |
河路 友也 愛知工業大学, 工学部, 教授 (90733684)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 教育施設 / 保育園・幼稚園 / 小中学校 / 音環境 / 騒音 / トラブル / 市民アンケート / 役所アンケート |
研究実績の概要 |
「Ⅰ アンケート調査(学校等・住民・役所)」大阪・名古屋・横浜・長野・松本・上田の6都市の市民アンケート調査結果の分析を行った。教育施設の建設反対者は、「聞こえたら悩まされる」と感じている傾向が見られた。また、教育施設から音が気にならないのに反対する人も多く、音以外で建設に反対していることが推測された。地域区分・居住年数で、建設反対の有無の明確な差は無かった。また、隣からの音に対する許容・地域行事への参加などでは差が見られた。市役所の教育委員会と保育課を対象に、教育施設に対する意見を騒音と他の苦情を含めたアンケート調査を行った。音の意見は他の苦情と比較して、特に多いわけでもなく、解決しにくいわけでもなかった。しかし、幼稚園・保育園の建設の理由では、騒音不安と交通不安が過半数を超えていた。 「Ⅱ GISによる学校等の周辺環境分析」アンケート調査を行った教育施設のデータ入力を実施した。このデータを項目Ⅳのリスク評価に活用する。 「Ⅲ 学校等から発生する音の測定」保育園と幼稚園を対象に園庭で遊ぶ園児の声と活動音に対する騒音測定と園児の数の調査をおこなった。騒音レベルは、園庭活動人数と相関が強い傾向が見られた。これは橋本*1の知見と合致する。一方、予測については、園児の活動場所の設定が大きく影響することが確認された。園庭面積や遊具の配置を考慮した予測が重要である。 「Ⅳ 学校等の騒音苦情リスク評価」市民アンケートで教育施設からの音に悩まされると思う人の要因検討をおこなった。全回答者と教育施設からの音に悩まされると思う人の比較では、教育施設からの音に限らず、他の音についても同様に悩まされると思う割合が高くなる傾向がみられた。 *1橋本典久 保育園等での子どもの声の騒音問題に関する地域共生のための検討報告書(2017.3)
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
「Ⅰ アンケート調査(学校等・住民・役所)」は、教育機関・市民・行政の3つに対してアンケートを行う計画である。教育機関・市民のアンケートは、順調に実施できた。行政機関のアンケート実施前に長野市教育委員会担当者とヒアリングを行い教育委員会と保育課の2組織に対してアンケートを実施するのが良いと指摘された。当初想定の倍のアンケートを全国の796市役所に対して本年度実施したが十分な考察が行われておらず、進捗が遅れている。 「Ⅱ GISによる学校等の周辺環境分析」は、アンケート調査を行った教育施設のデータ入力は終了した。ほぼ順調な進捗である。 「Ⅲ 学校等から発生する音の測定」は、保育園・幼稚園の騒音測定を実施し、状況の確認が行えたほぼ順調な進捗である。 「Ⅳ 学校等の騒音苦情リスク評価」行政へのアンケートが送れたため、それに合わせてリスク評価の進捗が遅れている。 以上より、全体的には遅れた状況となっている
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今後の研究の推進方策 |
昨年度行政のアンケートが終了した。アンケートの回答を頂いていない市役所の一部に再度依頼する。その後リスク評価の検討を実施する。計画は遅れ気味ではあるが計画内容の大幅な変更は行わない。また、今までと同様、共同研究者と定期的な打ち合わせを行い計画通りに進める予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
役所のアンケートが、当初計画の2倍になったため十分な考察が行えておらず、研究期間の延長を行った。研究成果の投稿費として次年度使用額を宛てることとする。
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