研究課題/領域番号 |
16K06631
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
山本 幸子 筑波大学, システム情報系, 准教授 (30509526)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 地方自治体 / 定住支援 / 移住支援 / 転入者 / Uターン / 近居 |
研究実績の概要 |
1)移住・定住支援策データベース構築と支援内容の分析:移住・交流推進機構JOIN ニッポン移住・交流ナビが公開している自治体の支援制度2014・2015・2016をもとに、施策分野・施策内容に関するデータベースを作成した。4 つの移住支援分野(体験・就業・住まい確保・定住)のうち、2014年度は住まいの確保と定住を実施する自治体が3割を占め最も多かった。2016年度は就業・住まいの確保・定住を実施する自治体が約半数を占め、就業支援を導入する自治体が増加していることが明らかとなった。一方で、体験に関する支援の導入率は2016年度も2割に満たず低い。 2)包括的移住支援システムの抽出と自治体の注力度分析:体験→就業→住まい確保→定住の移住プロセスに応じた支援を行う包括的な移住支援事業方式を導入する自治体は、2016年度で86自治体(13.8%)が抽出された。包括的に支援を実施する自治体は少ないものの、2014年度の31自治体と比較すると倍増し増加傾向にある。移住支援分野別施策数を注力度の指標とし、クラスター分析を行った結果、86自治体は7分類された。特に就業支援に注力するタイプ・住宅・定住支援に注力するタイプ・就業・住宅・定住支援に注力するタイプを抽出することができた。 3)近居支援事業を導入するシステムの運用実態調査:近年増加傾向にある「近居支援事業」をUターン支援策と位置づけ、実施状況を把握した。2015年度は50自治体が、2016年度はさらに45自治体の導入が確認された。2015年度時点で事業開始が確認された50自治体のうち、東京都23区内と政令指定都市を除いた45自治体に対しアンケート調査を実施し、事業内容と実績を把握した。事業開始から1~2年のため実績が10件以下の自治体が大半であるが、60件/年を超える3自治体を対象にヒアリング調査を実施し、その運用実態を明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は、「包括的移住支援システム」を対象に、地域特性に対応した移住プロセス別支援内容の差異化・重点化を組み込んだパターン展開を目的としている。H28年度は、「包括的移住支援システム」の抽出及び4 つの移住プロセス(体験・就業・住まい確保・定住)における自治体の施策注力度を分析を行った。一方で、自治体の地域特性の類型化及び支援内容・注力度との相関分析については、注力度の分析に留まり、地域特性との相関分析を行うことはできなかった。また、Uターン支援策として「近居支援事業」の運用実態を明らかにできた点では、計画以上に進展していると言える。以上より、おおむね順調に進んでいると言える。
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今後の研究の推進方策 |
1)地域特性による自治体の類型化と支援内容・注力度の相関分析:H29年度に抽出した86自治体を対象に、地域特性を類型化した上で、支援内容・注力度との相関分析を行い、地域特性別の支援内容の特徴とその要因を解明する。 2)平地農業・地場産業地域を対象とした、包括的移住支援システムの事例調査:地域特性の異なる4-5自治体を抽出し、システムの事例分析を行う。さらに転入者に対する聞き取り調査により、移住プロセス別に利用した自治体の支援内容を明らかにし、支援を利用していないプロセスがある場合は、支援が必要なかった理由を把握する。
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次年度使用額が生じた理由 |
当該年度に予定していたアンケート調査の郵送費を予定していたが、アンケート調査が不要となった。また論文校閲・翻訳を予定していたが、不要となったため、未使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
調査結果のとりまとめに必要な謝金に使用する予定である。
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