研究課題/領域番号 |
16K06636
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
安藤 正雄 東京大学, 生産技術研究所, リサーチフェロー (80110287)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 設計論 / BIM / IPD / DB / 標準分類 / 仕様書 |
研究実績の概要 |
平成28年度は、日本に先行してデザインビルド、BIMに関する制度化を図っている米英両国のうち米国調査を行い、並行して文献調査を進めた。 米国調査にあたっては、連携研究者2名、研究協力者1名を含む4名が平成28年10月30日より11月7日にわたり、ワシントン、ボストン、サンフランシスコの3都市を訪問し、政府機関・専門団体・大学3、建築設計事務所3、建設企業・建設現場4、民間発注者1、弁護士事務所1にてヒアリング調査、資料収集を行うともに、研究討議を行った。BIMに関してはVDC(Virtual Design & Construction)の先端事例を通じて米国が目指す将来像を明確に把握することができた。また、仕様書作成のための標準化をつかさどるCSI調査では、UniFormat、MasterFormat制定からOmniClassへと向かうBIM対応戦略の全体像を把握することができた。組織設計事務所の調査では、BIMを通じたプロセス変革への期待は概して高く、実施体制も飛躍的に進化しているものの、デザイン性の高い案件に対しては既存のBIMツールでは不十分という意見も聞かれた。BIMに適した案件とは何かという課題設定を裏付ける事実である。 敵対的(adversarial)から協調的(cooperative)へという受発注者間関係の変化は本研究で前提としたように顕著であるが、本年度の研究ではIPD(Integral Project Delivery)の標準約款を確立した弁護士事務所の調査を通じ、その成立と展開の経緯が明らかになるという成果があった。収集した資料の分析は継続中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
米国調査は計画通り実施することができ、所定の成果をあげることができた。 本研究では最終的な目的の一つとして「Integral(擦り合わせ)型のアーキテクチャを特徴とする日本の建築ものづくりと米英のそれとの相違点を検討することにより、今後日本の社会が目指すべき方向について考察すること」を掲げているが、DB、BIMを推進する米国においては、建築の要素にかかわる標準分類・コーディングが確立していること、BIMもその基盤の上に立脚していること、これら標準およびその適用場面と専門職能の分担が明瞭に対応していること等からModular型のアーキテクチャの存在がきわめて大きいと確認された。また、こうしたModularityが共通言語となり、発注者主導の変革が実現されていることの意味も大きい。本研究の推進にとって重要な意味を持つ進捗が得られたと考える。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、当初計画通り英国調査を実施し、研究を推進する予定である。 検討対象が設計・積算・施工等複数分野にわたり、また収集予定の資料が膨大であるため、分析のための分担体制の明確化が重要となる。現状の研究組織研の構成は適切であるが、さらなる工夫が必要であろう。また、現在、クラウドサービスを用い膨大な情報の共有を図っているが、活用策に関しては工夫が必要と考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
米国調査(3都市(7泊9日)×4名)旅費に関し、航空券が計画より安く購入できたため。
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次年度使用額の使用計画 |
英国調査(2都市(7拍9日)×4名)に要する費用に充当する。
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