研究課題/領域番号 |
16K06636
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
安藤 正雄 東京大学, 生産技術研究所, リサーチフェロー (80110287)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 建設マネジメント / 設計工学 / BIM / デザインビルド / アーキテクチャ |
研究実績の概要 |
平成29年度は、前年度の米国調査に続き、公共建築建設にBIM利用を義務付け、生産性向上を国策として実現する政策をとっている英国において調査を実施し、並行して文献調査を進めた。また、平成28年度の成果の一部を研究論文として取りまとめ、発表した。 英国調査にあたっては、連携研究者2名、研究協力者1名を含む4名が平成29年10月25日より11月2日にわたり、ニューカースル、ロンドンの2都市を訪問し、政府機関・専門団体2、建築設計事務所・コンサルタント4、建設企業・建設現場2、民間発注者1にてヒアリング調査、資料収集を行うともに、研究討議を行った。英国のBIM政策推進のシステム構築を実行する役割を担うNBS(National Building Specifications)では、米国と類似したモジュラー型のアーキテクチャにもとづいた標準化・コード化、およびその普及のためのプラットフォームづくりの実態に関する知見を得た。また、設計事務所、建設現場でのヒアリングからは、BIMの着実な浸透とともに、擦り合わせが必要なプロジェクトにおいては標準化・コード化に関して柔軟な適用が図られていることも確認した。 成果の中間的な取りまとめに関しては、前年度の米国調査の成果にもとづき、設計事務所のResponsibility MatrixとLODに関する査読付き論文1報、BIM/IPD(Integrated Project Delivery)方式のための民間標準契約約款に関する簡易査読付き論文1報を発表したほか、日本建築学会大会において講演発表を2件おこなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
前年度の米国調査に続いて英国調査を計画通り実施することができ、所定の成果をあげることができた。 本研究の最終的な目的の一つに「Integral(擦り合わせ)型のアーキテクチャを特徴とする日本の建築ものづくりと米英のそれとの相違点を検討することにより、今後日本の社会が目指すべき方向について考察すること」を掲げているが、DB、BIMを先導する米国・英国においては、明らかにModular型のアーキテクチャが前提とされていることが確認された。しかし、米英におけるIntegral型プロジェクト(高度な設計内容のもの)への適用の実態についてはなお不明の部分もあり、さらなる検討が必要である。 また、こうしたModularityが共通言語となり、発注者主導の変革が実現されていることの裏には、標準体系に組み込まれた性能・仕様の記述・伝達方法、積算体系とのリンクが重要であるとの認識が深まったことから、これらに関する重点的な検討の必要性も明らかとなった。以上は、成果の一部であると同時に、残された課題でもある。
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今後の研究の推進方策 |
3年間の研究の最終年度に当たる平成30年度には、研究の取りまとめを行い、成果を発表する予定である。 また、現在までの進捗状況を踏まえ、BIM適用の実態、BIM実施における仕様記述部分の利用状況について英国における追加調査を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
理由:英国調査(2都市(7泊9日)×4名)旅費に関し、航空券が計画より安く購入できたため。 使用計画:英国追加調査(1都市(5泊7日)×1名)に要する費用に充当する。
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