近年、中心市街地の再生が議論されるなかで、中心市街地がモノ消費空間から時間消費空間としての役割を期待される傾向にあり、各地の中心市街地において様々なイベントが盛んに行われている。しかし、中心市街地における多様化するイベントおよびイベントに活用される空間特性さらには立地や周辺環境といった都市的特性に関する知見は乏しい。 そこで、本研究では、多様化するイベントの実態やイベントに活用される空間を調査し、中心市街地の賑わいに寄与するイベント空間の都市的要件を明らかにすると共に、イベント空間を都市的視点から評価する方法を考察した。 平成28年度では、近年の地方情報誌(九州地方の都市)の過去5年分を収集してイベント情報を、時期・期間・内容・会場・対象などのデータから整理をおこない地方都市におけるイベントの実施状況を整理した。一方で、イベント空間を都市的視点で評価する方法や評価の指標の検討をおこなった。その結果として、アクセス(近接性)、周辺環境(波及性)、隣接環境(視認性)の3項目は、賑わいに寄与するイベント空間の重要指標として選定できた。 平成29年から平成30年にかけては、北部九州に位置する福岡市、長崎市、大分市、久留米市において現地調査を行い、評価指標によるイベント空間の評価をおこなった。 さらに平成30年度の後半では、イベント空間の都市的視点による計画・デザインの要件を考察した。また、多数の広場デザインを手掛けてきた専門家に計画・デザイン要件を提示して、研究成果の妥当性を定性的にも確認し、研究全体の総括をおこなった。ここまでに得られた研究成果は、定期的に日本建築学会の研究報告会において発表し、他の研究者の前で報告をおこなっている。
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