まず、今年度(H30)の主な新規の調査研究の成果としてまず以下にしめします。 a:計画技術に着目した低平地の集住地形成史(前近代~近代史)関連。筑後側下流域の寄州(河川路変更により生じた土地かつ洪水にみまわれらすい土地)に形成された集落以降に形成集落の空間システムについて調査研究を実施した。基本的に堤防で囲むことで集住をささせる集落の実態が、今回の対象地域の1つの居住形式として明らかになった。また、同様な土地の条件であるが、為政者(藩および県)の違いごとに、空間形成、特に居住地や共同施設の立地のさせ方等の差異も特徴である。 b:現代の基盤継承型の集住地形成にみる特性と課題(近現代+計画課題の抽出)。今回特にこれまで研究のなかった戦後の干拓集落:玉名市「横島干拓」について、資料収集および現地調査から集落空間の計画的視点から明らかにした。具体的には、防災面は基本的に強固な堤防に依拠していること。居住地計画に関して、形状・面積の等しい屋敷を東西道路の両側(北側・南側)に並べる画地計画がなされているが、屋敷配置や建物建設は個々の入植者により実現した。また、各屋敷では母屋を南、小屋を北側に配置され、これは接道(北または南)と関わらない共通する屋敷配置パターンといえ、特に、い草・野菜農家での空間展開や維持展開が実現していること等を明らかにした。 また、西欧からの計画・技術手法の導入に関して、オランダの都市史研究者と研究交流をへて、日本にて公開で議論(クリエイティブディスカッション)を行うことで、研究成果等の地域公開を行った。 さらに、最終年度として、H28~H30年度の集住地計画技術史に関する論文・資料等として成果のとりまとめを行った
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