研究課題/領域番号 |
16K06648
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研究機関 | 大分大学 |
研究代表者 |
小林 祐司 大分大学, 工学部, 准教授 (20305030)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 防災 / 減災 / 災害リスク / リスクコミュニティ / アンケート調査 / 空間分析 / 防災教育 |
研究実績の概要 |
本年度は,主に(I)「地域選定のための資料収集と現地調査・ヒアリング」,(II)「評価分析および防災・減災活動の展開」を実施した。 まず(I)「地域選定・資料収集等」では,各自治体との連携状況などから,特に小学校や地域での活動が活発である臼杵市を対象地域として選定した。防災関係の資料(地域防災計画など)を収集し,地域リスクに関する現地調査も実施した。また,(II)と関連する対象地域は,主たる地域は臼杵市であるが,隣接市の津久見市についても情報収集を行った。 さらに(II)「評価分析および防災・減災活動の展開」については,(1)リスクコミュニティ評価と(2)災害リスク評価を実施した。(1)リスクコミュニティ評価については,臼杵市内の小学校(13校)の保護者(1343世帯)と,各小学校の防災担当者,全自治会(305自治会)に対して,子ども達を中心として家庭・地域住民の防災意識および防災活動,地域内外連携の評価,学校の防災教育・活動,学校の防災計画や対策,地域内外連携などの評価などに関する内容のアンケート調査を実施した。基本的集計は完了し,今後は各主体間の連携の程度などを可視化し,ウィークポイント解明に繋がる分析を行うことにしている。さらに,(2)災害リスク評価については,地理情報システム(GIS)を活用し,臼杵市と津久見市を対象に,人口や建物の分布,地形,インフラ整備状況などのデータを整備し,災害を想定した商業施設や病院などの生活機能へのアクセス性や充足度がどの程度であり,災害後の対応が地域内で可能かどうか(自己完結度)などの自律分散性評価を行った。今回は主に民間施設を避難場所として設定することで,どの程度安全性が向上するかを詳細に検証した。今後は,生活機能などの総合的な評価を実施することにしている。 加えて,防災教育としてワークショップを実施し,内容の拡充や改善を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成28年度は,アンケート調査を小学生保護者・自治会・学校に対して実施し,多くの情報を収集することができた。リスクコミュニティ評価,災害リスク評価ともに,データ収集・分析・評価が中超に進んだと考えている。 平成29年度以降はこの情報をさらに分析し,活動へと反映させることが可能となることから「(2)概ね順調に進展している」と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
前年度同様にリスクコミュニティ評価と災害リスク評価を継続して行う。 リスクコミュニティ評価については,アンケート調査で得られた情報をもとに,より詳細な住民意識の構造など,ウィークポイントの把握につなげるための分析をさらに深化させる。 災害リスク評価については,前年度の自律分散性評価や避難時の課題把握に引き続き,地理情報システム(GIS)を活用して災害危険箇所などのデータ整備を行う。そして,多様な災害に対する危険度を地域の生活機能,災害危険箇所,避難場所・施設の分布状況,避難シミュレーションなどから学校区や地域ごとに評価を行う。 これらから,リスクコミュニティの総合評価,災害リスクの総合評価を行い,試行的に地域のウィークポイントの評価を行う。そして,例えば地域の事前対策・災害対応・復旧・復興などの各段階における課題を明確にしていくための方法なども検討することにしている。
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次年度使用額が生じた理由 |
アンケートの調査分析などの1年目の計画については当初の予定通り完了したが,研究が順調に進捗した。その結果,今後追加の調査(自治会や自治体の課題把握など)を行うことで,当初の目的に沿った形で想定していた以上の成果が得られると判断した。そこで,1年目の予算の一部(特に消耗品費や学会発表などの旅費)を2年目の追加の調査等,学会発表のための費用として充当することが妥当だと早期に判断し,平成28年度の研究実施に影響が出ないように使途を調整し,繰越を行った。
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次年度使用額の使用計画 |
繰越を行った経費については,追加調査のための調査費(アンケート調査)やヒアリング・現地調査のための旅費,学会発表のための旅費,ワークショップ開催のための備品費・消耗品費に充当することにより,本来の目的に沿った形での使用を計画している。
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