研究課題/領域番号 |
16K06657
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研究機関 | 東北芸術工科大学 |
研究代表者 |
馬場 正尊 東北芸術工科大学, デザイン工学部, 教授 (70515197)
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研究分担者 |
中江 研 神戸大学, 工学研究科, 准教授 (40324933)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | リノベーション / 人口減少社会 / エリア再生 / 地方都市 |
研究実績の概要 |
本研究を進めるにあたり、地方都市において人口減少や地域経済の悪化により衰退した後、復活を遂げた国内外の都市を調査した。国内では6つのエリアを取材、調査し、エリアが再生していくプロセスを分析、構造化した。その成果を元に、平成28度には「エリアリノベーション/変化の構造とローカライズ」(学芸出版社)を出版するという形で研究成果を社会に提示した。これが本研究の第一フェーズである。さらにそれを進化させるべく、次のステップとして研究対象を海外に拡張した。 旧東ドイツのベルリン・ライプツィヒなど東西統一後に著しく人口が減少した後に、近年再生を遂げたエリアの変化の構造を研究分析した。またエッセンにて、産業遺産を博物館にリノベーションした案件を調査した。 イタリアではアグリツーリズム(農業を基軸にした旅の新しい形式)やアルベルゴディフューゾ(空き物件を宿に用途変更し、食事等が街に分散した分散型宿泊形態)のような国の政策や規制緩和による地域再生のモデルを実地検証した。少ない人口や小規模の経済圏においても高付加価値の空間とサービスを提供することにより再生するエリアの可能性を発見した。 これらの成果をベースに、さらに複数の研究対象エリアを選定した。その結果を元に今年度には、海外の調査事例をまとめた「クリエイティブローカル/衰退の先の風景」を出版する予定だ。現在、執筆と出版の準備を進めている。 この研究では一貫して、調査分析のプロセスや成果を出版物として社会に問い、そのフィードバックを次の研究の基盤とする手法をとっている。出版による各方面からの反応や実践への応用に対する要望も多く、研究と並行しながらその成果を実用に結びつけ、研究の厚みを増していくプロセスの中にある。 今後、研究対象候補として英国のリバプール、米国のデトロイトなどの重工業の勃興を経た後に衰退と再生を経験したエリアがあがっている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の国内調査の成果として、平成28年度に「エリアリノベーション/変化の構造とローカライズ」(学芸出版社)を出版した。衰退後、復活を遂げた地方都市の背景を構造化したことで、各方面より反響があり、現在では「エリアリノベーション」の手法が地方都市において実践されはじめている。
また、海外調査を行い、それらをまとめた「クリエイティブローカル/衰退の先の風景」を平成29年度に出版する予定であり、現在執筆作業を行っている。
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今後の研究の推進方策 |
今後、さらなる研究対象候補地としてイギリスのリバプールや、アメリカのデトロイトなどの重工業の勃興を経た後に衰退と再生を経験した都市があがっている。
それらと、平成28年度の調査結果を元に、空間、資金、組織などの観点から整理・比較し、共通する基本的な骨格と、エリアごとにローカライズされる事象を整理する。エリアの歴史的背景を踏まえた経時的な変化の分析・考察を行い、エリアリノベーションの現象をモデル化した方法論として提示する。
これまでの研究結果については、全体の総括を行った上で、書籍として刊行することを予定している。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成28年度は計画とおり調査を行ったため、十分な成果が得られたが、さらに海外事例を中心により精度の高いデータを得るため、予算の一部を次年度で使用するとした。
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次年度使用額の使用計画 |
主に海外2カ国(イギリスのリバプール市及びアメリカミシガン州のデトロイト市)への調査に使用する予定である。また、現地ガイドに対する謝金なども支出する必要がある。 現地調査に加え、行政へのヒアリングを行う可能性がある。
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