本研究は集合住宅の専用部分(住戸内部)の可変性(間取り変更など)について、入居開始後35年超に渡る実態調査の結果を元に分析したものである。調査対象とした1982年竣工の住宅団地では、可動間仕切りや可動収納壁を設けた住戸が、家族のライフステージの変化や入居者の入れ替わりの際に、効果的に間取り変更を行っていることが確認された。居住年数が長い世帯ほど今後も長く住みたいと回答する傾向が高いが、共有部分に段差があり、エレベータが設置されていないため、高齢者世帯の転出が見られた。途中入居者が入居時に間取り変更や改修工事しやすいため、若い世帯が入居時に比較的安価に改修できることにも寄与している。
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