研究課題/領域番号 |
16K06662
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研究機関 | 東京電機大学 |
研究代表者 |
伊藤 俊介 東京電機大学, 情報環境学部, 教授 (50339082)
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研究分担者 |
垣野 義典 東京理科大学, 理工学部建築学科, 准教授 (60385523)
倉斗 綾子 千葉工業大学, 創造工学部, 准教授 (80381458)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 小規模校 / 過疎地 / 施設計画 / 学習空間 / 学校運営 |
研究実績の概要 |
平成28年度は文献研究・情報収集および国内外の事例調査を実施した。海外の調査対象フィールドに北欧(デンマーク、フィンランド)を選定して研究を進めた。 ●文献研究:日本では学校の小規模化と統廃合が進行中である。この潮流について学校経営の効率・合理性の観点から統廃合といわゆる適正規模化を推進する立場と、地域コミュニティ維持の観点から地域の学校を維持すべきとの立場があり、前者は教育学(教育行政)に多く、後者は建築計画学、教育学の双方に見られることが確認された。また、小規模校に関する建築計画学の研究は、地域との関わりと複式学級が主な研究課題であることが分かった。 北欧でも地方における人口減少と小規模校の維持・統廃合が課題となっている。しかし、北欧では近年、カリキュラム・学習の個別化が進んでいるため、日本では問題とされる複式学級が問題とならないことや、プロジェクト型学習の浸透を背景に、地方では地域に根ざした学習内容が提供できることがむしろ利点とみなされるという違いが見られた。 ●事例調査:国内では、東日本大震災被災地において長期にわたり間借り再開をしていた小規模校の、限られた施設条件下での教育活動の実態を調査した。他に、新校舎を建設した農村部の小規模中学校の建築計画と運営について実態調査を行った。 海外では、フィンランド、デンマークの小規模校を対象に学習空間計画とその使われ方の調査を行った。フィンランドの事例からはICTを導入したことで学習空間が変化している実態が明らかとなった。デンマークの事例では、学級数が少ないで可能となる複数学級一体型の運営と、小規模な校舎における空間活用と脱一斉授業型の学習空間の作り方が明らかとなった。 ●その他:次年度以降の準備として、日本全国の学級数別学校数の実態と地域傾向の分析および建築計画的に特徴のある小規模校・過疎地の事例に関する情報収集を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
事例調査を実施できた対象数が予定よりも少ない。これは主としてスケジューリングの不調によるものであり、研究対象の性質上、移動に時間を要する調査先が多いため、調査事例数を増やすことができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
現地調査が行える日数の制限を考慮して、多数の事例を集める方向から、地域や類型を絞ったケーススタディを中心とする方向に調査計画を変更する予定である。これにより、当初挙げた目的のうち数量的な分析を行うトピック(例えば、面積規模算定)は割愛し、質的分析による検討を中心にする。
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次年度使用額が生じた理由 |
事例調査回数が当初計画よりも少なかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度の事例調査のため使用する。
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