研究課題/領域番号 |
16K06673
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
吉田 友彦 立命館大学, 政策科学部, 教授 (40283494)
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研究分担者 |
式 王美子 立命館大学, 政策科学部, 准教授 (10512725)
本塚 智貴 公益財団法人ひょうご震災記念21世紀研究機構, 人と防災未来センター, 主任研究員 (40751152)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | インドネシア / 低層 / 住宅地 / 就業地 / 通学 / 空間計画 |
研究実績の概要 |
インドネシア・ディポネゴロ大学工学部建築学科講師のPandelaki E.E.博士を立命館大学地域情報研究所に研究員として招へいし、中央ジャワの大都市スマラン市の都市計画に関する文献の収集に助力をもらうとともに研究会活動等によって諸計画の方向性に関する議論を深めた。 また、インドネシアの西ジャワ州ジャカルタ大都市圏郊外にあるスカブミ県の工場労働者の通勤行動に注目し、大工場の女性労働者が安価なバイクタクシーを通勤利用している実態を明らかにしつつ、バイクタクシーと工場労働者の通勤行動を一体的に考えることの重要性を指摘した。 具体的には、スカブミ県・幹線道路沿いに分散立地する大規模工場の中から労働者数の多い順に10件の工場を抽出し、そこで勤務する工場労働者に対して行った通勤状況に関してアンケート調査を通じて分析した。分析内容は工場労働者本人の事情についてであるが、項目によっては世帯ごとの状況を調査・分析した。これによれば概数で、調査対象者の平均年齢は約25.7歳、本人の月収はおよそ248.6万ルピア(日本円で約2万円)、一世帯あたりの世帯人員は4.54人、月あたりの通勤コストは30万ルピア(日本円で約2400円)、通勤時間は29.7分、通勤距離は8.3kmなどとなっていた。98の調査対象者のうち、バイク(自動二輪)の所有者は73人、非所有者は25人となっている。本研究では特にバイクの所有の有無から各数値データのt検定を行った。これによると、一世帯当たりの労働者数は所有ありが2.16人、所有なしが1.64人で有意な差が見られた。通勤事情は所有ありが9.1kmで月額29.6万ルピア、所有なしが5.6kmで月額20.6万ルピアとなっており、バイクの所有が通勤可能距離を1.5倍に伸長するとともに、同じ比率のコスト増大を発生させていること等がわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2017年度はPandelaki E.E.博士を立命館大学地域情報研究所・研究員として招へいし、空間計画の収集や低層住宅地の今後の整備方針について議論を深めた。また、Hadi, R.P. and Yoshida, T.(2018)により2編の学術論文を公表し、本課題における当該年度の研究実施計画の主な項目がおおむね順調に進展した。さらに、インドネシアの都市計画専門家との国際会議における招待講演が3件あり、予想以上の研究報告の機会が与えられた。これにより、政治経済学上、工学上の意見交換ができ、より学際的な成果が得られたと考えられた。
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今後の研究の推進方策 |
住宅地の実態調査はおおむね順調に進んでいる。空間計画(Spatial Plan)については、スマラン市の事例について収集が達成できた。その他、国際会議での報告も実現できているものの、今後はさらにこれらの成果をもとに口頭発表などによる公表活動に努める。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度、研究分担者および研究協力者の出張にあたって他の経費からの工面ができたため、旅費が抑制された。今年度は得られたサンプルの、より詳細な分析のためのPCおよびソフト・オプション等の購入費、すなわち物品費およびその他費用に使用する予定である。
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