研究実績の概要 |
スペイン国立インディアス古文書館では、旧スペイン植民地をエリア別のセクションに分け、計7000以上の都市図等を保存している。本研究ではその視覚的資料(イメージ資料)と都市建設に関わる文書(テクスト資料)の史料分析を進めている。2017年度は前年度に整理したグアテマラ・セクションの史料から、都市計画要素の抽出作業を行いデータベース化したものに対し、都市計画技術に相当する内容を検討した。 蓄積したデータベースのうち前年度に実施した地理条件の認識、都市の輪郭(境界線)、宗教施設等の配置に関する作図の分析等に加えて、新たにMP-GUATEMALA,302、319、324の3点を中心に、グリッドパターンの計画、土地区画の内容、都市の輪郭決定などに関する計画性を分析し、都市図カルテの作成を進めた。 さらに、こうした一次史料が示す都市計画技術の分析とあわせて、スペイン植民地時代のこうした都市計画技術がどのようなところで指導されてきたのかという関連テーマに取り組む必要性を感じ、調査を開始した。教育機関の歴史的調査を通して、まずは18世紀にバルセロナに設立された軍事数学アカデミーにおいて、都市計画技術に相当する内容が教育されていたことが明らかとなった。その内容を査読論文にまとめ、下記のジャーナルに発表した。 Akihiro Kashima, “City Planning and Architectural Education in the Establishment of the Academies in 18th-Century Spain”, The Journal of Asian Conference of Design History and Theory No.2, Design Education beyond Boundaries, Tokyo, 2017, pp.41-52.
|