研究実績の概要 |
本研究は「都市計画」の概念が未成立の時代における「都市計画」的行為や計画技術とみなせる行為を抽出し、近代以降の都市計画技術との関係を明らかにしようとするものである。2018年度はスペイン植民地時代の都市図等のイメージ資料および法規範や記録文書等のテキスト資料の分析対象を広げ、「都市計画」的行為とみなせる手法や方法論について検討した。 従来から明らかになっているグリッド・パターンの街路構成や中央広場の計画といった均質的な空間構造を意図した手法の他にも、小広場の分散配置、またそれに伴う施設配置などの計画性が読み取れることから、均質的な都市レイアウトの中にも、各所に機能を分散させ、多様性を創出する意図があったという解釈を裏付けることができた。また小広場の役割に関していえば、今日のスペイン都市の旧市街における分散的に存在する小広場の機能性を評価する方法を検討する着想を得た。 さらに、城郭都市の時代に、都市の境界を越えて拡張できる計画性を新都市計画に取り入れていることが窺えた。近代以降の基本的な都市計画技術との連続性を窺わせるこうした機能分散、多様性創出、都市拡張といった技術的観点は本研究の位置づけとして重要であり、下記の査読論文にまとめた。 Kashima, Akihiro. “A Perspective of "Diversity Creation" and "Expandability": Another Interpretation on Spanish Colonial Town Planning”, The 18th IPHS Conference: Looking at the World History of Planning, Proceedings, International Planning History Society, 2018, pp.685-692.
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