研究課題/領域番号 |
16K06682
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
初田 香成 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 助教 (70545780)
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研究分担者 |
栢木 まどか 東京理科大学, 工学部第二部建築学科, 准教授 (10453820)
田中 傑 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 客員研究員 (60468569)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 住宅金融公庫 / GHQ / 日本電建(日本電話建物) / 関西住宅無尽 / 殖産住宅 / 太平住宅 / 梅ヶ丘 / 耕地整理事業 |
研究実績の概要 |
平成28年度は3年間の研究期間の初年度として、以下の三つのテーマに関する研究を行った。 第一にGHQ を通じたアメリカ郊外の都市居住様式の影響に関する研究である。ここでは既に発見していた、住宅営団廃止と住宅金融公庫設立に関するGHQ文書について一部を解読した。とくに住宅金融公庫法案成立直前の詳細なやりとりを明らかにし、戦前の住宅政策からの転換点を示すとともに、都市史の視点からの研究の必要性などを示した。成果は解説論文「戦災復興期の住宅金融公庫設立と持ち家志向」として『建築雑誌』(日本建築学会)に発表した。 第二に民間建売住宅販売会社の活動に関する研究である。大正期から第二次世界大戦後にかけて無尽方式で住宅を販売した会社及びそれに起源を持つ会社群に着目し、これらの会社の系譜とその供給手法の意義について考察を行った。先行研究では一部の会社のみが扱われがちだったのに対し、その総体を視野に入れながら、新たに発見した資料により隆盛の背景にあった供給手法の意義や限界について考察した。成果は研究分担者との共著論文として『日本建築学会計画系論文集』(査読付き)に投稿した。 第三にこの種の会社が主として開発した郊外住宅地の事例研究である。あまり注目されてこなかった小田急・梅ヶ丘駅周辺の耕地整理事業を題材に、火災保険特殊地図や土地台帳によって開発の実態を明らかにし、従前の地目が宅地化の時期を規定し、少数の土地所有者によりある種恣意的に開発が主導されるものの、実際の宅地化は個々の土地所有者の意向に左右されていた様子を明らかにした。成果は日本建築学会都市史小委員会シンポジウム「都市化の比較史─土地の近代」において、コメントとして公表した。 この他にも以上に密接に関連するテーマについて研究および作業を多数行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究は順調に進んでいる。一部、当初予定の史料調査を行うことができなかったが、代わりの作業を行い、また成果も公表することができた。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度以降は、引き続き、とくにGHQ を通じたアメリカ郊外の都市居住様式の影響に関する研究と郊外住宅地の事例研究を重点的に研究を行っていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
史料調査のためのまとまった時間がとれず、旅費使用額が当初予定よりも少なかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
旅費として使用予定である。
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