| 研究課題/領域番号 |
16K06684
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| 研究機関 | 信州大学 |
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研究代表者 |
梅干野 成央 信州大学, 学術研究院工学系, 准教授 (70377646)
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| 研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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| キーワード | 建築史 / 山岳建築 / 富士山 / 山小屋 |
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| 研究実績の概要 |
日本では山岳と深く関わるなかで文化が育まれてきた。山岳を人のいとなみの場としてとらえた場合、そこでは固有の建築文化が育まれてきたはずである。とはいえ、従来の建築史学の分野において、山岳のなかで育まれてきた建築文化、すなわち「山岳建築」は体系的に把握されてこなかった。本研究は、日本を代表する山岳信仰の地である富士山を事例として、【研究①：山小屋の開設過程】、【研究②：山小屋の原形】、【研究③：山小屋の変容の方向性】を把握し、信仰を基盤とする山岳建築の近代化を明らかにするものである。
平成30年度には、引き続き【研究①：山小屋の開設過程】に取り組み、各登山道（吉田口・須走口・御殿場口・富士宮口）における信仰を基盤とした山岳建築（休泊施設と宗教施設）の分布に関する復原をふまえ、構成の変化について分析を行った。その結果、富士山における山岳建築の分布の構成は、近代化の過程において、麓と山頂、さらにはその間に築かれた近世から続く宗教施設を基盤として、もっぱら休泊施設が築かれていくという、より多くの登山者を受け入れる方向での宗教施設と休泊施設の接近的ないとなみとして変化してきたことを明らかにした。
また、平成30年度には、引き続き【研究②：山小屋建築の原形】と【研究③：山小屋建築の変容の方向性】にも取り組んだ。平成29年度に実測調査を行った建設が古くにさかのぼると推定される御殿場口登山道のわらじ館について、再度、実測調査を行い、とりわけ富士山の山小屋を特徴づける石室の構法の発展について理解を深めた。これをもとに石室の原形について考察を行い、石室の建築が、石造を原形として、後に木造へと至ったという一つの可能性を指摘した。また、他地域（北アルプス）に遺存する石室と比較を行い、この可能性の妥当性を検証した。
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| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成30年度には、引き続き【研究①：山小屋の開設過程】に取り組み、富士山における山小屋の開設過程を含む、山岳建築の変化の過程を見通すことができた。平成29年度に進めることができなかった史料調査についても、文献にまとめられているものを中心として、新たに登山案内などの資料の分析を進め、予定していた内容を把握することができた。
また、平成30年度には、引き続き【研究②：山小屋建築の原形】と【研究③：山小屋建築の変容の方向性】にも取り組み、実測調査の精度を高めたことによって、富士山の山小屋を特徴づける石室の発展について、その原形と変容の方向性を考察することができた。
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| 今後の研究の推進方策 |
平成31年度は、最終年度ということもあり、【研究①：山小屋の開設過程】、【研究②：山小屋建築の原形】、【研究③：山小屋建築の変容の方向性】を通じて把握した成果を総合し、富士山における山岳建築の近代化の過程について考察を行う。
総合の方法としては、【研究①：山小屋の開設過程】をふまえたうえで、その具体的な現象として【研究②：山小屋建築の原形】と【研究③：山小屋建築の変容の方向性】を捉える。【研究②：山小屋建築の原形】では、史料調査と実測調査の成果を整理し、山小屋の開設された当初の姿（原形）について、信仰のための空間を中心に復元的な考察を行う。【研究③：山小屋建築の変容の方向性】では、史料調査と実測調査の成果を整理し、原形から現形に至る山小屋の歴史的文脈を把握し、信仰のための空間の変化について考察を行う。
以上の内容については早急に研究を推進し、成果がまとまり次第、研究論文として公表する予定である。
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| 次年度使用額が生じた理由 |
天候不良により調査を中止した日程があったため、旅費等について次年度使用額が生じた。
中止した分の調査については次年度に調査を行う予定であり、次年度使用額はその旅費等にあてる予定である。
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