本研究は、土木・建築技術者の国内外移動と職能形成過程の観点から、明治期の主として都道府県において、近代建築や近代都市の建設に従事した技術者たちの実態を解明することを目的としている。令和元年度に実施した研究の成果と補助事業期間全体を通じて実施した研究の成果は、以下の通りである。 <令和元年度に実施した研究の成果> ①明治期の各都道府県庁に在籍した技術官(主として技師・技手)の氏名の網羅的抽出:東京都、千葉県、新潟県、群馬県、山口県での追加調査、②技術者の専門分野構成ならびに各技術者の経歴に関する史料の収集(秋田県、宮城県、長野県、山口県、日本建築学会図書館、国立国会図書館)、③建築物の図面収集・古写真収集ならびに遺構調査(国立国会図書館、日本建築学会図書館、防衛庁、青森県、山形県、宮城県、神奈川県)、④技術者の配置状況等(人数・在任期間・都道府県間の移動実態)に関する全国的視点での比較考察(全国) <補助事業期間全体を通じて実施した研究の成果> ①明治期の各府県に在籍した建設系技術者および周辺人物の把握:5000名程の技術者に関する独自のデータベースの作成(国立国会図書館や各都道府県立図書館・同公文書館資料にもとづく)、②建築技術者および周辺人物の経歴の把握:200名超の地方技術者に関する独自の履歴データの作成(秋田県・宮城県・長野県・群馬県・神奈川県・京都府・山口県の各公文書館での資料調査、国立公文書館・防衛庁での資料調査、工業系教育機関の卒業生名簿、日本建築学会員名簿、工学会員名簿からの情報収集にもとづく)、③建築物の図面収集・古写真収集(国立国会図書館、日本建築学会図書館、防衛庁戦史資料室、および郷土史関係書籍にもとづく)ならびに遺構調査(青森県、山形県、宮城県、群馬県、長野県、神奈川県、京都府)、④以上にもとづく全国的視点での比較考察
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