古社寺保存法時代における特別保護建造物の修理は、資料を基礎に検証をおこなうことにより、当初形式の解明に有用となることが指摘できる。施行細則の第三條にある設計変更は、古社寺保存会に諮詢されて許可された設計変更に加え、未諮詢となっていた設計変更を確認することができた。許可されていた設計変更の内容は屋根の葺材や形式の変更が多く、移築を含む限定的なものであった。 設計変更以外に変更された箇所があり、小屋材や軒廻りは古代や中世の技法、「確固タル証蹟」が調査されないままに部材が取り替えられていた。古社寺保存会には未諮詢であったことで文書などの記録が残されず、施工後は結果的に当初形式の解明が困難になる。
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