本研究は、ドイツのハウプトバーンホフ、すなわち、ドイツの主要都市に設置された鉄道の中央駅を対象とし、それぞれの駅舎のデザインや空間構成の特徴、各都市の中での役割や位置付け、開業に至るまでの経緯並びに駅舎とホームの変遷や関係性などについて、「建築」「都市」「鉄道」という3つの異なる視点から調査を行った上で、最終的には、歴史的建築物が残存している中央駅の駅舎の保存および再生や活用の方法を明らかにし、我が国の駅舎における歴史的建築物の保存・再生に寄与することを目的とするものである。 平成30年度は、ドイツ語圏のオーストリアとスイスを訪れ、ウィーン中央駅及びオットー・ワーグナーが設計した駅舎と、チューリッヒ中央駅について調査を実施した。具体的内容としては「建築」「都市」「鉄道」という3つの異なる視点を重視し、まず「建築」的視点から開業当時と現在の駅舎に関する建築概要の把握を行い、次に「都市」的視点から各都市におけるハウプトバーンホフの役割や位置付けを検証した上で、さらに「鉄道」的視点から駅舎とホームの変遷や関係性に関する整理を行った。また、研究対象となる中央駅の歴史や分類等の基礎的なデータを確認するために『Bahnhofsarchitektur』(独語)の翻訳作業を実施した。 そして、平成28年度と平成29年度に実施した歴史的建築物が残存するカテゴリー1の中央駅に関する調査結果を踏まえて、ベルリンにてドイツ国鉄(DB)の建築関係者にヒアリング調査を行い、本研究のまとめに関連する情報収集及び意見交換を行った。
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