研究課題
1. Mg-Zn-Y中のシンクロLPSOの形成過程の研究昨年度実績に記載の通り、ZnとYのhcp格子への侵入によってhcpがc軸の伸長によって膨張し、その後、hcp格子が崩壊してLPSOが形成される。この過程を解釈するために、第一原理計算を実施し、実験との対応を比較した。すでに先行研究にて、2HのMgと18RのMgの間のエネルギー差は融点以下であることが第一原理計算で示されていたが、より詳細にメッシュを切り、計算を実施したところ、420 Kで18Rのフリーエネルギーの方が、2Hよりも低くなることが分かった。また、Yが固溶した場合、c軸が拡大することについてもエネルギー的に妥当であることが明らかになった。2Hの格子体積の膨張は、18Rへの相転移に必要なエネルギーを低下させるとの先行研究があり、本実験結果でみられたhcp格子のc軸の伸長に伴う体積の増加が18Rへの相転移へのTriggerになったと解釈される。また、LPSO組成領域のMg-Zn-Yの三元系のhcpよりもfccの方がエネルギー的に低く、Suzuki効果によってZnとYはより積極的に、局所的fcc構造であるstacking faultに濃集すると考えられる。これらの計算結果との対応より、Mgのhcp格子の膨張とSuzuki効果がLPSO形成に重要な因子であることを明らかにした。2. 高圧実験によるシンクロLPSO関連構造の研究昨年度までにMg97Zn1Yb2を5 GPaで合成すると6周期の長周期超格子(LPSL)と4周期のLPSLの両構造が形成される。本構造の形成領域を調査したところ、4周期LPSLは3 GPaでも形成されることが分かった。また、さらに詳細な調査を進めたところ上記、二つのLPSLとは異なるもう一種類の長周期構造が存在することが明らかになった。同構造の詳細については今後研究予定である。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (8件) (うち国際学会 3件、 招待講演 3件) 備考 (1件)
MATERIALS TRANSACTIONS
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