研究課題/領域番号 |
16K06713
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研究機関 | 国立研究開発法人物質・材料研究機構 |
研究代表者 |
今井 基晴 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 機能性材料研究拠点, グループリーダー (90354159)
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研究分担者 |
梅澤 直人 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 国際ナノアーキテクトニクス拠点, 主幹研究員 (20455273) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | バリウムシリサイド / 太陽電池材料 / 置換効果 / バンドギャップ |
研究実績の概要 |
本課題では、薄膜太陽電池材料として有望な物性を示すユビキタス元素化合物BaSi2のバンドギャップ(Eg)における元素置換効果を明らかにし、そこからBaSi2多接合型太陽電池を可能にする材料を探索することを行う。具体的には、Ba1-xSrxSi2等の元素置換試料を合成し、Ba原子等を置換することによるBaSi2の結晶構造及びEgの変化を、実験、計算の両面から調べる。BaSi2において、Ba原子は異なる二つの結晶学サイトA1、A2を、Si原子は異なる三つの結晶学サイトSi1、Si2、Si3を占めており、それぞれの元素に対し複数の置換サイトを持っているので、それぞれの元素に対して置換サイトが一つしかない二元系Ⅲ-Ⅴ化合物半導体とは異なるEgに対する置換効果が期待される。このようにして得られたEg制御に関する知見を用いてBaSi2多接合太陽電池を作成する際に必要な材料を開発することを目指す。 当該年度においては、Ba1-xSrxSi2のエネルギーギャップEgを拡散反射法を用いて決定した。Egはxの増加とともに減少した。更に、第一原理計算によりモデル計算を行った。BaSi2の結晶構造では、Ba原子はA1、A2の二種類のサイト、Si原子はSi1、Si2、Si3の三種類のサイトを占有する。そこでA1サイトをSr原子が、A2サイトをBa原子が占有するモデルA1-Sr-BSS、A2サイトをSr原子が、A1サイトをBa原子が占有するモデルA2-Sr-BSSを作成し、その電子状態、物性について計算をした。これらの計算結果を実験結果と比較し、議論した。BaSi2の欠陥に関する第一原理計算も行った。その結果、支配的な欠陥はSi欠陥、Baアンチサイト欠陥、Si格子間原子であることが分かった。Ba1-xCaxSi2のEgと結晶構造に関する研究も始めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度までに、Ba1-xSrxSi2の単結晶を育成し、結晶構造、エネルギーギャップEgを決定した。更に、第一原理計算によりモデル計算を行った。BaSi2の結晶構造では、Ba原子はA1、A2の二種類のサイト、Si原子はSi1、Si2、Si3の三種類のサイトを占有する。そこでA1サイトをSr原子が、A2サイトをBa原子が占有するモデルA1-Sr-BSS、A2サイトをSr原子が、A1サイトをBa原子が占有するモデルA2-Sr-BSSを作成し、その電子状態、物性について計算をした。これらの計算結果を実験結果と比較し、議論した。また、Ba1-xCaxSi2に関する研究も始めた。以上のことから、研究はおおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
昨年に引き続き、BaSi2のBa原子をCa原子に置換した試料Ba1-xCaxSi2の結晶構造と光吸収係数に関する研究を行う。時間があれば、Si原子をX原子(X = C or Ge)で部分置換した試料BaSi2-yXyのT1, T2, T3サイトの占有率、EgのX元素濃度依存性に関する研究を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由)昨年、研究代表者が交通事故にあったため、約4か月間離脱した。 (使用計画)今回生じた次年度使用額は主にH30年度の第一原理計算コードPHASEの保守費用および研究協力者への謝金として使用する。
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