研究課題/領域番号 |
16K06725
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
村田 貴広 熊本大学, 教育学部, 准教授 (70304839)
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研究分担者 |
猿倉 信彦 大阪大学, レーザーエネルギー学研究センター, 教授 (40260202)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | ガラス / シンチレーター / 中性子計測 |
研究実績の概要 |
本研究では,レーザー核融合の爆縮プラズマ診断という特殊用途のみならず,セキュリティー,ガン治療,インフラ非破壊検査,など幅広い分野において開発が切望されている中性子線シンチレーターの開発を最終目的として,これまでに申請者らの研究グループが独自の材料設計戦略に基づいて見出した中性子線検出用ガラスシンチレータ(特許第5158882号)において,深紫外蛍光を示す賦活剤Pr3+に対して賦活助剤をcodopingさせて,真空紫外領域における賦活助剤から賦活剤Pr3+への高効率エネルギー移動によって,より高輝度かつ高速応答性を有する高性能中性子線ガラスシンチレーター材料の開発研究を行う. 当該年度では,幅広いバンドをもつPr3+の4f15d1準位に着目して,独自の材料設計戦略に基づき,賦活助剤候補を選定するために,分子科学研究所極端紫外光研究施設(BL7B)も活用して,ガラスにドープしたPr3+の光学特性に及ぼす温度の影響を精査した.217 nmで励起したPr3+ドープガラスのフォトルミネセンス強度は温度の減少に伴い増大した.267 nm励起による蛍光寿命も測定した.その結果, Pr3+濃度の増大に伴って蛍光寿命は減少したものの,いずれのPr3+濃度においても,蛍光寿命は温度の影響を受けずに変化しなかった.これらの結果に基づいて,Pr3+のエネルギー準位を詳細に解析した.この解析結果より,賦活助剤の候補を選定し,codopingして基礎データを集積し,Pr3+の深紫外蛍光特性に与える影響を分光学的に詳細に解析した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
codopingによるエネルギー移動を明らかにするために,本年度ではまず,ガラスにドープしたPr3+のエネルギー準位を詳細に解明した.それに基づいて,賦活助剤の候補を選定し,codopingしたガラスにおいて,エネルギー移動に関する各種基礎データの集積が進んでいる.
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今後の研究の推進方策 |
次年度では,1年目に取り組んだ賦活剤-賦活助剤の関係に関する知見に基づいて,賦活剤Pr3+と最適賦活助剤の濃度を系統的に変化させたガラスシンチレーターを調製し,研究分担者が世界に先駆けて独自に開発した真空紫外ストリークカメラシステムを駆使し,sub-nsオーダーでの高時間分解かつ広範囲波長域をモニタリングして,ガラスシンチレーターの励起から減衰にわたる一連のシンチレーション過渡現象を詳細に計測し,Pr3+-賦活助剤のcodoping濃度の最適化を行う.
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次年度使用額が生じた理由 |
予算の残りが僅少であったため,研究進捗に影響をしないことを確認し,より有効に予算を執行すべく,次年度でのガラス調製に必要な物品費に充当するため.
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次年度使用額の使用計画 |
ガラス調製に必要な物品費に充当する計画である.
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