本研究では,レーザー核融合の爆縮プラズマ診断という特殊用途のみならず,セキュリティー,ガン治療,インフラ非破壊検査,など幅広い分野において開発が切望されている中性子線シンチレーターの開発を最終目的として,これまでに申請者らの研究グループが独自の材料設計戦略に基づいて見出した中性子線検出 用ガラスシンチレータ(特許第5158882号)において,深紫外蛍光を示す賦活剤Pr3+に対して賦活助剤をcodopingさせて,真空紫外領域における賦活助剤から賦活剤Pr3+への高効率エネルギー移動によって,より高輝度かつ高速応答性を有する高性能中性子線ガラスシンチレーター材料の開発研究を行う. 当該年度では,賦活剤として高速応答性能を有するPr3+に対して,賦活助剤として高い発光強度を示すCe3+をcodopingさせ,Pr3+からの蛍光寿命を高速化させることに成功した最適ガラスシンチレータについて,分子化学研究所極端紫外光研究施設(BL7B)も活用して,真空紫外ストリークカメラシステムを駆使し,Pr3+とCe3+の相互作用によるcodoping効果に関するメカニズムの解明に取り組んだ.さらに,ガラス製造プロセスがシンチレーション特性に及ぼす影響について検討を行い,ガラス製造プロセスの改良にも取り組んだ.
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