研究課題/領域番号 |
16K06728
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
平田 好洋 鹿児島大学, 理工学域工学系, 教授 (80145458)
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研究分担者 |
鮫島 宗一郎 鹿児島大学, 理工学域工学系, 准教授 (00274861)
下之薗 太郎 鹿児島大学, 理工学域工学系, 助教 (80586610)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 多孔体 / セラミックス / 力学物性 / 熱物性 |
研究実績の概要 |
(1)研究代表者が提案した複合則を用いてアルミナ多孔体のヤング率を種々の気孔率に対して計算し、実測値との比較を行った。実測値は気孔を分散相(閉気孔)として計算したヤング率よりも低かった。(2)大粒子(351 nm)と小粒子(156 nm)からなるアルミナ粉体の成形と焼結のプロセス及び焼結した二粒子アルミナ多孔体の圧縮強度を調べた。二粒子系の焼結は大粒子間の焼結により支配された。二粒子系の応力‐ひずみの関係は非線形であった。二粒子系アルミナ多孔体の圧縮強度と粒界面積及び相対密度との関係は、研究代表者が提案した理論式でよく説明された。(3)アルミナ-ムライト複合体(相対密度96.4-99.5%)のヤング率と熱膨張係数を測定し、研究代表者の複合則の計算値と比較した。計算は気孔を考慮した3相系で4つのモデル構造について行った。実測値と計算値のよい一致が示された。(4)緻密質ムライトの比熱-ヤング率-熱膨張係数-熱伝導度の関係を調べた。研究代表者が提案した比熱-ヤング率-熱膨張係数の関係式を用いて、実測のヤング率と比熱から熱膨張係数を計算した。計算値は実測値とよい一致を示した。また、この関係式を用いて実測の比熱と熱膨張係数からヤング率の温度依存性を評価した。計算されたヤング率は室温から1000℃で205-230 GPaの範囲にあり、高温変形しにくいことが分かった。(5)炭化ケイ素-酸化物助剤-気孔からなる三相系の熱伝導度を測定し、研究代表者の複合則で計算した値と比較した。50 mass%の酸化物助剤を含む炭化ケイ素の熱伝導度の測定値は、相対密度の増加に伴い連続相内の分散相が気孔から炭化ケイ素に変化することが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
アルミナ多孔体の圧縮強度とヤング率に及ぼす気孔率、異径二粒子の混合の影響を調べた。アルミナ-ムライト複合体のヤング率と熱膨張係数を測定した。ムライト緻密体の熱伝導度を測定した。炭化ケイ素-酸化物助剤-気孔の3相系の熱伝導度を測定した。それらの測定値は、研究代表者が提案した複合則及び関係式を用いて計算した値と比較され、良い一致が認められた。また、それらの結果が3報の論文にまとめられ、国際学術雑誌に掲載された。
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今後の研究の推進方策 |
アルミナ多孔体の熱膨張係数を室温-1000℃で測定し、研究代表者が提案した複合則の計算値と比較する。焼結、力学特性に及ぼすアルミナの粒子形状の影響を調べる。
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