研究実績の概要 |
芋焼酎製造の副産物である焼酎滓のメタン発酵で製造されているバイオガスの主成分はメタンおよび二酸化炭素である。このバイオガスを燃料ガスとして、直接、固体酸化物形燃料電池へ導入して発電性能を評価する。実験に用いるバイオガスは脱硫処理をしたもので、下水汚泥由来のバイオガスに含まれるシリカケールの原因となるシロキサンはほとんど含まれていなかった。バイオガスの成分は、メタン 60.0%, 二酸化炭素 37.5%, 水素 <0.1%, 一酸化炭素 <0.1%, アンモニア <0.1%, 硫化水素 2.1ppm, 窒素 2.5%, 酸素 0.1% であった。 発電用セルは燃料極支持型で、燃料極はNi- GDC (ガドリニウム固溶セリア)、電解質はGDC、空気極はLa-Sr-Co-Fe-O 系ぺロブスカイト酸化物のものを作製した。 800℃で水素を燃料とした場合、開放起電力は0.44~0.54V、最大出力密度は106~161mW/cm2であった。バイオガスを直接導入した場合、開放起電力0.59V、最大出力密度90mW/cm2と水素燃料とほぼ同等の性能の場合(A)と開放起電力0.17V、3mW/cm2と著しく性能が低下した場合(B)があった。発電後の燃料ガスには、メタンの二酸化炭素による改質(ドライリフォーミング)による水素と一酸化炭素が(A)では13%、9%含まれていたが、(B)ではほとんど含まれておらずドライリフォーミングが進行していなかった。実験によってバイオガスのドライリフォーミングおよび発電性能に違いがみられた。 ドライリフォーミングが進行しなかった実験では、燃料ガス中の酸素濃度が燃料極ニッケルの酸化が起こる濃度に達していた。
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