研究課題
全固体Liイオン電池の超高出力化を最終目標として、単一薄膜中に粒界のないバルク単結晶品質の一枚板の電池材料薄膜を形成する。これまでに、集電体にもなるNb:SrTiO3単結晶基板の(111)面の微傾斜基板(傾斜方向:[011])上にLiCoO2をエピタキシャル成長すると、c軸に配向しつつステップフロー成長によって柱状成長が抑えられた薄膜がえられ、その上に非晶質Li3PO4薄膜、金属Li膜を形成して作製した薄膜電池は低電流での充放電では良好に動作するが電流値を上げると容量が減少する、低出力の電池となることがわかった。微傾斜基板を用いずに柱状成長したc軸配向膜よりも出力特性が劣っていることからLiCoO2結晶のc軸方向にはLiが伝導しにくいことを実電池で示したものだが、裏を返せばLiCoO2結晶のab面内にはLi伝導しやすいことを強く示唆している。LiCoO2のab面を垂直に立てた(110)配向膜が最も高出力になる可能性が高いが、現状ではどのような基板を用いても(110)配向膜は作製できておらず、現状ではNb:SrTiO3の(100)面上に形成したLiCoO2の(104)配向膜がab面の最も立った配向であるが、Nb:SrTO3の(100)微傾斜基板(傾斜方向:[011])を用いても、LiCoO2結晶のc軸方向は揃えられるものの柱状成長は避けられていなかった。Sr/Ru比を制御して格子定数をLiCoO2に合わせたSrRuO3バッファー層の導入を予定していたが、その前にLiCoO2の成長条件としてLi/Co比に加えて酸素欠損量と成長速度の低減により結晶性をさらに向上させたところ、柱状成長した100nm程の厚さのLiCoO2(104)配向膜でも1000C充電、10000C放電が可能な非常に高出力な薄膜電池が作製できた。
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Communications Chemistry
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