研究課題/領域番号 |
16K06741
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
日暮 栄治 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 准教授 (60372405)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 水素ラジカル / インジウム / 表面酸化膜 / 還元処理 / インジウムボール |
研究実績の概要 |
半導体デバイスの三次元実装、MEMS (Micro Electro Mechanical Systems)やフォトニクスデバイスのパッケージングなどの分野で、熱損傷や熱応力を低減できる低温接合技術が求められており、活発な研究が進められている。インジウム(In)は様々な表面に濡れ広がり、融点が156.7 ℃と低く、延性・展性に富むため、異種材料の熱膨張係数差を吸収することのできる低温鉛フリーはんだとして使用される。しかしながら、Inは、錫(Sn)と比較してもその酸化物生成自由エネルギーが小さく、酸素と結合しやすい金属のため、低温での接合を実現するには、酸化膜除去が重要である。 本研究では水素ラジカルを用いたインジウム酸化膜除去プロセスの開発を目的に、水素ラジカルの照射条件を検討した。 金薄膜を成膜したシリコン基板上に純度99.99%の直径300 μmのInボールを配置し、水素ラジカル処理し、In融点以上まで昇温することで、濡れ広がりが生じるかどうかを観察する濡れ広がり試験を行った。酸化膜が除去された場合、金薄膜上にInが濡れ広がり、除去されない場合や除去されても再び酸化膜が形成される場合は、ボールの内部のみが液相となり濡れ広がりが発生しない。濡れ広がりは、水素ラジカル照射温度に大きく依存し、Inの融点以下で水素ラジカルを照射した場合には濡れ広がりが見られなかったが、水素ラジカル照射温度170℃以上では20秒程度の照射で濡れ広がりが見られた。250℃以上の高温が必要となる水素ガス(水素分子)による還元と比べて、水素ラジカルを用いると表面酸化膜除去プロセスの低温化が可能となることがわかった。 さらに、Inはんだペーストを水素ラジカルリフロー処理することによって、フラックス残渣の洗浄が不要なバンプ形成が可能であることを示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
水素ラジカルを用いてインジウム酸化膜除去が低温(170℃)で可能であることを明らかにした。また、ペーストに適用することにより、バンプ形成可能であることを示した。研究計画がほぼ達成された。
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今後の研究の推進方策 |
水素ラジカル処理によるバンプ形成プロセスにおいて、最適なプロセス条件を決定する。また、水素ラジカル処理したインジウムに対する再酸化過程について、アルゴン高速原子ビームにより物理的にエッチングして酸化膜を除去した試料と水素ラジカルにより還元処理した試料を準備し、X線光電子分光法を用いて再酸化過程を比較分析する。
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