平成30年度では、電解重合法、ドロップキャスト、スタンプコート、スピンコートで複合薄膜を作製・評価を行い、より良い条件と製造法を模索した。このとき、材料単体での熱電性能を向上させるために、各試料へUV、EB照射を行った。また、熱電性能を向上させるキーとして無機材料の分散性が重要であると考えたため、プラズマ照射を行い、カルボキシル基の付与が効果的であるかを調査した。この結果、ホモジナイザーを使用することで、複合膜中のナノプレート分散性は高まるものの、熱電性能を向上させることができなかった。そこで、材料をカーボンナノチューブとPEDOTに変更しての積層薄膜を作製した。ITO基板上にカーボンナノチューブを塗布し、これを電極兼熱電材料として、PEDOT薄膜を電解重合法で成膜した。この結果、従来のPEDOT単体の電解重合膜の10倍以上の性能を持つものが得られた。 フレキシブル薄膜熱電デバイスの設計について、同様な設計をビスマステルル系めっき膜を用いて試作した。従来の薄膜熱電デバイスでは面内方向に自発的に温度差を生じさせることが難しい.そこで本研究では薄膜熱電デバイスに傾斜型のブロックを組み合わせることで、効果的に温度差を生じさせることに成功した。また、デバイスに発生する温度分布を数値計算を使って評価し、傾斜角度と熱電性能の関係性を評価した。
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