研究課題/領域番号 |
16K06757
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研究機関 | 長野工業高等専門学校 |
研究代表者 |
宮崎 忠 長野工業高等専門学校, 機械工学科, 准教授 (70383487)
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研究分担者 |
百瀬 成空 長野工業高等専門学校, 電気電子工学科, 准教授 (00413774)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 材料加工 / 電磁圧接 / 電磁成形 / 高エネルギー速度加工 / 衝撃塑性加工 |
研究実績の概要 |
衝撃電磁シーム溶接法は「アルミニウム薄板や銅薄板を特性の大きく異なる鋼板など異種金属材を容易に溶接できる」「厚さ3 mmの薄板から厚さ6.5 μmの金属箔のシーム溶接が可能である」など様々な利点を持つ.これまでの実験において,「接合部には2カ所の溶接部とその間の非溶接部が存在すること」「シーム溶接された部分は,面でなく2本の線状に溶接されること」が明らかになっている.しかしながら,本接合に関する最適な接合条件に関しては,経験的にしか得られていないのが現状である.本研究の目的は,衝撃電磁シーム溶接法における最適な接合条件について明らかにすることにある. そこで研究の初年度(平成28年度)は,最適な接合条件を明らかにするために構造解析用コンピューターを導入し,並列コイルを利用しアルミニウム薄板同士を接合する場合の変形シミュレーションを行った.ここで検討した項目は,「薄板衝突時の変形挙動」「接合部近傍の変形の状態」「薄板衝突時の速度」「衝突後の速度変化」「薄板衝突時の角度変化」などの衝突パラメーターである.また,翌年以降の解析との比較のために,X線分光装置を用いて接合界面の材料組織や接合界面の成分分析も併せて行った. その結果,コイル間隔を狭くすると板材同士が接触していない箇所が小さくなり,コイル間隔2.0 mmでは板材同士が完全に接触すること,コイル間隔2.0 mmでは,コイル同士の内側の相当塑性応力は初期衝突点から2.3 mm離れた位置で急激に減少することが明らかになった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初,実験の方はやや遅れているが,翌年度以降に予定していた並列コイルを用いた接合シミュレーションに着手できたことから,概ね予定通りに進展していると考える.
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度に得られた結果を基にして,接合シミュレーションを行うとともにアルミニウム薄板同士の接合実験を行う.アルミニウム薄板同士を接合する場合の接合界面状態と衝突パラメーターとの相関については平成29年度中頃を目標に明らかにする.上記研究とともに,ここまで得られた結果をもとに接合面積を増やすための検討にも着手する.方法については平成28年度と同様である.
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次年度使用額が生じた理由 |
平成28年度は,変形シミュレーションを中心に行ったこと,これまでコイル作製したコイルが壊れることなく使用できたこと,実験がやや遅れているなどの理由により次年度使用額が生じてしまった.
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次年度使用額の使用計画 |
平成29年度に(国研)産業技術総合研究所の装置を利用して接合実験を行う予定であるが,厳しい条件で接合実験を行わざるを得ないことから,コイルの破損が予測される.そのことから,追加でかかるコイル制作に次年度使用額を使用する予定である.
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