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2018 年度 実績報告書

原子炉圧力容器を脆化させる析出相の結晶構造と機械的性質の解明

研究課題

研究課題/領域番号 16K06767
研究機関熊本大学

研究代表者

松川 義孝  熊本大学, 大学院先端科学研究部(工), 准教授 (70566356)

研究分担者 牟田 浩明  大阪大学, 工学研究科, 准教授 (60362670)
研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2019-03-31
キーワード原子力材料 / 圧力容器 / 脆化 / 寿命 / 析出物 / 状態図
研究実績の概要

本研究の目的は、原子炉圧力容器鋼の寿命を律速するナノ析出物(Ni-Si-Mn-Fe)が、結晶学的にG相(cF116構造)に該当するか否かを判定するガイドラインを作成することであり、申請書に記した具体的な研究内容は、化学量論組成のG相(Ni16Si7Mn6)を起点としたNi-Si-Mn-Fe疑四元系状態図を作成することであった。
当初の計画に従って昨年度までに、地金を様々な比率でアーク溶解した結果、作成したインゴットが単相で且つ構造がcF116になるのは化学量論組成のG相のみであることが明らかとなった。鋼に実際に析出するG相には、Siが半分Feに置換した組成(Ni16Si3.5Fe3.5Mn6)のものもあるのだが、それはこの平衡状態図では再現できないことがわかった。この組成のG相は、熱力学的に非平衡な相であると結論づけられる。
状態図を作成する実験と並行して、化学量論組成のG相の物性測定を行った。その結果、全く想定していなかった新奇な知見が得られた。Thermo-calcでG相の融点を計算すると2,188 Kという結果になるのだが、実際の融点は1,475 Kであった。この大幅な食い違いは、既存の熱力学的データベースが正しくない可能性を示唆している。
G相の自由エネルギーを実験で直接導出した導出した前例はない。最終年度では、化学量論組成のG相の自由エネルギーを実験と第一原理計算でそれぞれ導出することを試みた。比熱を4 Kから融点までの温度範囲で測定し、エントロピーを導出した。G相が200 Kで磁気変態し、それより低温で反強磁性体になることも明らかにした。標準生成エンタルピーを導出する実験は現在進行中である。第一原理計算では、VASPとphonopyを用いて自由エネルギーを導出した。G相は温度によって磁性が変化するため、計算では反強磁性、強磁性、非磁性の3種類について検討した。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2018

すべて 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件)

  • [学会発表] G 相(Ni16Si7Mn6)の物性測定と結晶構造解析: 軽水炉圧力容器の脆化寿命予測の高精度化に資する基礎研究2018

    • 著者名/発表者名
      松川義孝、山口正剛、本間佳哉、中森文博、牟田浩明、井藤大智、大石佑治、小林能直
    • 学会等名
      日本原子力学会秋の大会
  • [学会発表] 冷間強加工中の析出物のオストワルド成長: 動く転位を介した超高速パイプ拡散の可能性について2018

    • 著者名/発表者名
      松川義孝、大熊一平、阿部弘亨
    • 学会等名
      日本金属学会秋期大会
  • [学会発表] The theory of precipitation hardening revisited: the effect of crystal structure on the obstacle strength2018

    • 著者名/発表者名
      Yoshitaka Matsukawa
    • 学会等名
      CIMTEC 2018 - 14th International Ceramics Congress & 8th Forum on New Materials
    • 国際学会 / 招待講演

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公開日: 2019-12-27  

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