高サイクル疲労における擬へき開破壊や粒界破壊などの結晶組織を反映した微視割れは、転位堆積による応力集中が直接的に脆性的な微小き裂形成を与えるモデルが提示されてきたが、長年にわたり実験的検証が得られていない状況にあった。本研究成果は、局所的塑性変形集中が微視割れの原因を与えることことを実験的に明らかにし、従来の考えから大きな進展をもたらそうとするものである。延性金属の曲げ疲労における粒界き裂形成や、転動疲労などのより複雑な変形条件下におけるき裂形成についても視野に入れており、疲労き裂発生機構についての統一的・学術的理解を導き、長寿命へ向けた材質制御、結晶塑性モデル計算などへの反映が期待できる。
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