第一に、空気極の新物質探索に必要となる、Ni+YSZ燃料極グリーンシートを開発した。グリーンシートは、10cm角までの大型化に成功した。第二に、開発したNi+YSZシート上に、YSZ電解質を一体焼結した基板を作製した。更にこの基板上にGDCを焼き付けて反応防止層とした。これにより、空気極の物質探索に利用可能な、燃料極・電解質の一体型基板を開発した。このNi+YSZ(燃料極基板)/Ni+YSZ(燃料極活性層)/YSZ(電解質)/GDC(反応防止層)基板と、空気極材料に既存のLSCFを用いて固体酸化物燃料電池を作製し、800℃で1W/cm2の出力密度を達成した。第三に、電解質材料にGDCを用いた、Ni+GDC(燃料極基板)/Ni+GDC(燃料極活性層)/GDC(電解質)/SSC+GDC(空気極)の一体共焼結型セルを開発し、700℃で0.55W/cm2の最大出力密度を得た。第四に、燃料極と電解質の一体型基板の更なる性能向上のため、レーザー蒸着法を用いた、燃料極・電解質の一体型基板の作製装置を開発した。この装置により、大口径の燃料極基板上に、緻密な電解質と反応防止層を均一に積層することが可能となった。これらの取り組みにより、層状酸化物を空気極とした固体酸化物燃料電池の作製を可能とする、燃料極・電解質の一体型基板の作製技術を確立した。今後は、開発した燃料極・電解質の一体型基板を用いて、層状酸化物を対象とした空気極材料の物質探索を行う予定である。
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