研究課題/領域番号 |
16K06782
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研究機関 | 北九州工業高等専門学校 |
研究代表者 |
小畑 賢次 北九州工業高等専門学校, 生産デザイン工学科(物質化学コース), 准教授 (70370046)
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研究分担者 |
松嶋 茂憲 北九州工業高等専門学校, 生産デザイン工学科(物質化学コース), 教授 (80229476)
水野 康平 北九州工業高等専門学校, 生産デザイン工学科(物質化学コース), 准教授 (80342583)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 光触媒 / 光殺菌 / 鉄系複合酸化物 / 無機微粒子の合成 / 可視光応答 / LED / CaFe2O4 |
研究実績の概要 |
本研究では、資源量が豊富で、熱的及び化学的に安定なアルカリ土類フェライト:AFe2O4 (A = Mg, Ca)に着目し、特異的微細構造の制御やヘテロ接合界面の最適化を行うことで、室内灯(LED)照射下で高効率に作用する光殺菌システムを開発するものである。具体的には、(1) 異種元素添加によるアルカリ土類フェライトの微細構造変化メカニズムの解明, (2) 異種元素添加によるアルカリ土類フェライトの多孔体形成条件の最適化, (3) 室内灯(LED)による大腸菌群の光殺菌システムの開発を目的とし、研究を進めている。 平成28年度では、CaFe2O4の微細構造制御に重点を置いて、WO3/CaFe2O4系光触媒の可視光照射下におけるイソプロパノール分解活性の改善を試みた。CaFe2O4は、ヘテロ金属多核錯体法, マイクロ波加熱法, リンゴ酸錯体法, 錯体重合法により合成した。XRD測定から、リンゴ酸錯体法及び錯体重合法により、固相反応よりも低温でCaFe2O4が得られた。リンゴ酸錯体法で、CaFe2O4にSi及びZrを添加すると表面形態が多孔質化し、Ti, Hfを添加すると微細化した。可視光照射下におけるイソプロパノールの分解活性試験を実施したところ、クエン酸錯体法から合成したWO3ナノ粒子とネットワーク構造を有するZrを添加したCaFe2O4 を組合せた光触媒が効果的に分解できた。さらに、CaFe2O4にZrを添加すると、ガス検知特性のような機能性が発現することも明らかになった。また、リンゴ酸錯体法で、MgFe2O4にSi及びLaを添加すると微粒子が得られた。可視光応答性のWO3 を用いて大腸菌Escherichia coli K-12に対する光殺菌効果の評価系を検討した。攪拌の有無や照射量、時間を様々に検討した結果、生菌数をCFUレベルで評価する条件を確立した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成28年度は、アルカリ土類フェライト(CaFe2O4)について、(1) 微細構造変化メカニズムの解明, (2) 異種原子添加によるアルカリ土類フェライト多孔体形成条件の最適化, (3) 室内(LED)灯による大腸菌群の光殺菌システムの開発を目的としている。項目(1)の微細構造変化について、XAFS解析を実施したが、表面構造に関する有益な情報は得られなかった。しかしながら、項目(2)及び(3)は、概ね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
(理由) 29年度以降は、28年度の研究計画を継続して、アルカリ土類フェライト(CaFe2O4, Ca2Fe2O5, MgFe2O4)について、異種原子添加による多孔体形成条件の最適化を図る。また、WO3などの可視光吸収性のn型半導体を用いてp/nヘテロ接合型光触媒を調製し、光触媒活性の更なる改善を目指す。 (次年度使用額が生じた理由と使用計画) 研究計画の変更及び研究を遂行する上での大きな問題点は、生じていない。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究成果の公表において、学会発表よりも論文投稿を優先して学会参加を延期したため。
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次年度使用額の使用計画 |
試薬等の消耗品代として使用予定。
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