{10-12}変形双晶を導入した多様な二元系マグネシウム合金に対し、変形双晶界面(近傍)の局所変形応答に及ぼす溶質元素の影響について検討、調査した結果、以下の知見が得られた。 変形双晶近傍域の微細組織観察より、室温圧縮試験後、熱処理を施した二元系合金では、変形双晶界面に溶質元素が偏析することを確認した。また、マグネシウムに固溶する汎用元素に限った場合、変形双晶界面に偏析する/しやすい溶質元素は、添加元素の種類に差異はないことが分かった。局所変形応答では、ナノインデンテーション法を用いた内部摩擦特性:tanδの値にて評価した。本研究で得られたtanδの値は、計測箇所や添加元素の種類に影響を受けやすいことを確認した。双晶界面および結晶粒界から十分離れた結晶粒内から取得したtanδの値は、添加元素の種類に関係なく類似した値を呈したが、溶質元素の存在に起因し、二元系合金の内部摩擦特性は、純マグネシウムと比べて劣っていた。双晶界面近傍から得られたtanδの値は、添加元素の種類に依存しやすいことを究明した。第一原理計算にて求まった物理定数との比較より、内部摩擦特性を向上または劣化させる溶質元素は、「双晶界面偏析エネルギーと密接な関係がある」ことを解明した。双晶界面エネルギーを安定化させる元素(例えば、イットリウム)を添加した場合、内部摩擦特性を劣化させる傾向にあった。他方、双晶界面エネルギーに影響を及ぼしにくい元素(例えば、スズや鉛)を添加した合金は、マグネシウムと同等の内部摩擦特性を示した。
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