昨年度までの成果として、純チタンを低酸素分圧下の窒素雰囲気中で熱処理することによって、窒素含有欠陥を含む酸化チタンを形成させると、正または負の表面電位を有する表面の形成に成功した。今年度は、正、負またはゼロの表面電位を有する表面におけるMC3T3-E1細胞の細胞増殖および骨芽細胞への分化能を比較した。増殖能に関しては、何れの表面でも、同等に良好な増殖能を示したのに対し、分化能に関しては、正または負の表面電位を有する表面の方がゼロの表面に比べて1.5倍高いことがわかった(14日培養期間)。この特性向上は、細胞接着性タンパク質であるフィブロネクチンだけでなく、水酸化アパタイトの構成成分であるCaとPの吸着が生じているためと考えられた。
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