前年度に引き続き金属学的因子と微生物応答の相関の高精度/実時間解析に向けた検討を推進した。微生物腐食の進行過程の可視化情報と、電気化学的解析データの相関を評価し、腐食現象の理論的解析を行った。また、材料学的ミクロ観察手法により、腐食形態/速度(孔食深度)の実態・傾向を調査した。上記検討から、微生物腐食を誘導する金属学的因子の影響を詳細に検討した。 (1)金属学的因子と微生物応答の相関の高精度/実時間解析:金属表面の微生物観察は、染色操作や固定化処理に依存することが一般的で、このことは微生物応答の実態解明の大きな制約の一つであった。本申請研究では、緑色蛍光タンパク質(GFP)をコードする遺伝子で形質転換した微生物をトレーサーとして活用する実験手法を考案し、金属学的因子と微生物応答を定量的/速度論的に解析した、国際的にも新規な知見の獲得を目指した。また、CSLMの他にデジタルマイクロスコープなどのデバイスを適用した新しい観察実験系の構築しその場観察実験の可能性を開拓した。 (2)腐食発生挙動の可視化情報と電気化学的特性の相関解明:微生物腐食再現試験中の可視化情報と試料電気化学特性をin-situで評価可能な実験系を設計/考案した。金属腐食/微生物の位置情報と表面電位分布(SVET:走査振動電極法などを想定)などの電位可視化情報との関連付けにも取組み、腐食発生挙動の理論的な解析にむけた調査研究を開始した。孔食電位測定と観察を併用した微生物腐食実験に着手し実験データを獲得した。 (3) 微生物腐食を誘導する金属学的因子の影響解明 腐食再現後の試料表面の微視的形態/金属組織をSEM、超深度形状測定装置で評価し、腐食形態の実態を調査した。前述した、腐食発生挙動の可視化情報、電気化学的特性と本検討結果を総合的に評価し、微生物腐食を誘導する金属学的因子の影響を検討した。
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