研究課題
今年度は下記3点について調べた。概要は下記のとおりである。(1)時効初期(600℃、1時間)のTiC中を高分解能電子顕微鏡観察により調べた。析出したTi付近では0.47nm間隔((0001)面)、またTiC領域では0.24nm間隔((111)面)の格子縞が明瞭に観察された。一方、析出したTiとTiCの界面付近にはTiCの(111)面の2倍周期(0.49nm)のコントラストが得られたが、このコントラストは一方向のみに観られることからR-3m構造のTi2Cであると推測される。(2)Nガスを用いて合成した複合材料中の「TiC粒子/析出Ti/マトリックス」の界面をSTEMでHAADF像観察したところTiC粒子中に析出するTiとマトリックスTiは同一のコントラストを示し、SAD回折結果も両者は同じ方位を有していることから、これらは連続した組織である可能性が考えられる。(3)Ti析出に密接に関係するTi2Cの高温域での安定性を調べたところ、例えば2%N試料のas cast(鋳造による凝固のまま)状態ではTi2CのSAD回折スポットは明瞭ではなくデイフューズな形であり、そのドメインサイズは極めて微小であるが、750℃で10~100時間保持すると、Ti2Cからのスポットはシャープなものに変化し、Ti2Cは安定化する。しかし、同じ組成の試料を850℃で時効処理した場合、10時間保持後にはかすかにTi2Cからのデイフューズしたスポットが得られるものの、100時間後にはTi2Cのスポットは消失する。つまり、Ti2Cは850℃では安定に存在し得ないことが明らかとなった。上記の(1)~(3)の結果と、これまでの研究期間を通じて得られたN添加や等温時効がTiC中へのTi析出に及ぼす影響の結果を総合することにより、強度・延性に優れた新規Ti基複合材料創製への基本的な指針が明確となった。
すべて 2020 2019
すべて 雑誌論文 (15件) (うち査読あり 15件) 学会発表 (16件) (うち国際学会 4件) 産業財産権 (1件)
Materials Transactions
巻: 61 ページ: -
International Journal of Hydrogen Energy
巻: 44 ページ: 9338-9347
https://doi.org/10.1016/j.ijhydene.2019.02.101
Materials & Design
巻: 175 ページ: 107815
https://doi.org/10.1016/j.matdes.2019.107815
Scientific Reports
巻: 9 ページ: 7309
https://doi.org/10.1038/s41598-019-43869-1
Proceedings of 32nd International Symposium on Space Technology and Science and 9th nanosatellite symposium
巻: paper ID=a90345 ページ: ー
Composites Part A: Applied Science and Manufacturing
巻: 123 ページ: 320-326
https://doi.org/10.1016/j.compositesa.2019.05.022
Mechanics of Advanced Materials and Structures
巻: ー ページ: ー
https://doi.org/10.1080/15376494.2019.1633710
第29回 マイクロエレクトロニクスシンポジウム 論文集
巻: ー ページ: 1C1-1
Proceedings of the American Society for Composite-Thirty Fourth Technical Conference
巻: ー ページ: 27997
Proceedings of 10th conference of the Advanced Technology of Experimental Mechanics
ECS Transactions
巻: 91 ページ: 391-402
Journal of Energy Storage
巻: 26 ページ: 100980
https://doi.org/10.1016/j.est.2019.100980
Journal of the Ceramic Society of Japan
巻: 127 ページ: 939-941
https://doi.org/10.2109/jcersj2.19166
Ceramics International
巻: 46 ページ: 7654-7658
https://doi.org/10.1016/j.ceramint.2019.11.266