研究課題/領域番号 |
16K06803
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研究機関 | 宇部工業高等専門学校 |
研究代表者 |
吉田 政司 宇部工業高等専門学校, 機械工学科, 教授 (10370024)
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研究分担者 |
新田 悠二 宇部工業高等専門学校, 機械工学科, 助教 (20762222) [辞退]
徳永 仁夫 鹿児島工業高等専門学校, 機械工学科, 准教授 (70435460)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 高強度材料 / 高硬度材料 / 高温強度 |
研究実績の概要 |
放電プラズマ焼結法によって、直径40mmのAlTi-TiB2複合材焼結体を作製し、放電加工により、引張試験片に加工し、室温から600度までの範囲で、引張試験を実施した。 室温での試験片の強度は、直径20mmの小型試験片と比較して、半分程度に低下したが、温度変化に関しては、600度までの範囲で一定の強度を保つことがわかった。室温での強度が低下した原因としては、大型試料では焼結温度が十分に上がらないことが考えられた。 FeAl-TiB2複合材およびNiAl-TiB2複合材を作製し、TiB2の体積割合を変化させたときの曲げ強度およびビッカース硬度の変化を測定した。その結果、いずれの複合材でも、TiB2の体積割合が30%で曲げ強度は最大となり、FeAl-TiB2複合材では1300MPa、NiAl-TiB2複合材で1000MPaが得られた。また曲げ強度のTiB2の体積割合による変化が、TiB2粒子間の平均距離に基づくモデルで説明できることがわかった。FeAl-TiB2複合材では、TiB2の体積割合を90%に増加させた場合にも、焼結温度を1300度まで上げることで、相対密度が96%以上の緻密な焼結体が得られ、曲げ強度1000MPa、ビッカース硬度2000Hvの高強度、高硬度材料が得られることがわかった。FeAl-TiB2複合材のビッカース硬度は焼結温度が1100度ではTiB2の体積割合が70%までは増加するが、70%以上で低下すること、焼結温度が1300度ではTiB2の体積割合が90%まで増加することがわかった。 複合材の作製方法はFeAl-TiB2およびNiAl-TiB2複合材のいずれの場合でも、原料としてTi粉末とB粉末を用いて反応焼結させるよりもTiB2粉末を用いる方が強度の大きい複合材が得られた。この理由はTiB2粉末を用いた場合には、TiB2が、より均一に分布した複合材が得られるためであると考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
FeAl-TiB2複合材において、TiB2の割合を90%まで増やしても緻密な材料を作製できることがわかった。また、AlTi-90vol%TiB2において曲げ強度1000MPa、ビッカース硬度2000Hvと、実用化されている超硬合金(WC-Co)をしのぐ特性が得られた。さらに、TiB2の体積割合を変化させたときの複合材の特性予測が可能となり、高強度化への指針が得られた。 TiB2基複合材で放電加工による引張試験片加工の技術を確立し、高温引張試験ができることがわかった。
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今後の研究の推進方策 |
FeAl-TiB2複合材において、TiB2の体積割合を90%に固定し、焼結温度を変えて曲げ強度、ビッカース硬度の変化を調べる。また、ビッカース痕のSEM観察を行い、きれつ進展挙動から破壊靭性値を求める。さらに、AlFe-TiB2複合材の高温引張試験をおこない、強度の温度変化をあきらかにする。同様に、NiAl-TiB2複合材について、TiB2の体積割合を90%に固定し、焼結温度を変えて曲げ強度、ビッカース硬度の変化を調べる。さらに破壊靭性値を求め、FeAl-TiB2複合材との比較をおこなう。
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次年度使用額が生じた理由 |
使用額が予定より少なかった理由は、旅費予定額が、安い航空券を利用したために、差額が生じたためで、残額は、次年度の学会発表旅費に使用する。
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