| 研究課題/領域番号 |
16K06808
|
|---|
| 研究機関 | 地方独立行政法人大阪産業技術研究所 |
|---|
研究代表者 |
平田 智丈 地方独立行政法人大阪産業技術研究所, 和泉センター, 主任研究員 (20359433)
|
|---|
| 研究分担者 |
中本 貴之 地方独立行政法人大阪産業技術研究所, 和泉センター, 主任研究員 (40393300)
木村 貴広 地方独立行政法人大阪産業技術研究所, 和泉センター, 主任研究員 (50712907)
|
|---|
| 研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
| キーワード | 金属積層造形 / 金属疲労 |
|---|
| 研究実績の概要 |
これまでに、アルミニウム合金の積層造形材の疲労特性においては、ミクロ組織よりも内部欠陥のほうがより支配的に影響を及ぼすことがわかった。そこで本年度は、内部欠陥の影響をより定量的に評価するために、レーザー照射条件を変化させて内部欠陥量の異なる造形材の作製を試み、それらのサンプルの特性を評価した。また、空洞欠陥のないサンプルの特性も調査するために、造形後に熱間等方圧加圧（HIP）処理した材料も準備して評価した。
レーザー照射条件を変化させたサンプルにおいて、相対密度の測定およびX線CTによる内部欠陥調査を実施したところ、レーザーの走査速度の増加に伴い、相対密度は減少し、内部欠陥は増加していく傾向が認められた。また、照射条件の制御により、相対密度98%以上のサンプルを複数種類作製することに成功した。それらのサンプルを引張試験にて評価したところ、内部欠陥が多いほど強度が低く、かつ伸びが小さくなる結果が得られたが、内部欠陥の影響は伸びに対してのほうがより敏感であった。一方、HIP材において同様に内部欠陥を調査したところ、X線CTで確認できる大きさの欠陥は認められず、HIPにより内部の空隙が押し潰されていることがわかった。しかしながら、ミクロ組織観察により、HIP時の加熱の影響により析出物の分布状態が大きく変化していることがわかった。また、引張試験の結果においては、伸びは非常に良好であったが、引張強度は大幅に低下していた。今後はそれらのデータをもとに疲労試験条件を検討し、疲労試験を順次実施して、内部欠陥の定量的な評価を進めていく。
|
| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
申請書内の次年度の計画では、内部欠陥の影響を定量的に評価するために、粉末粒度・形状やレーザー照射条件を制御して、欠陥サイズを変化させたサンプルを作製し、疲労特性を評価する予定であった。それが難しかった場合は、集束イオンビーム加工装置（FIB）による微細加工を利用する予定であったが、レーザー照射条件の制御により内部欠陥量の異なる複数種類のサンプルが準備できたので、それで評価を進めている。初年度は、内部欠陥だけではなくミクロ組織の影響も検討することが課題として残ったが、それに関してはHIP処理材を利用して検討を進めており、特に問題は生じていない。
|
| 今後の研究の推進方策 |
今後は、内部欠陥量の異なるサンプルとHIP材を用いて、疲労試験を順次実施していく。それらのサンプルのS-N線図を作成し、さらに疲労試験したサンプルの破断面解析も詳細に行うことで、内部欠陥の影響を定量的に評価する。最終的には、金属積層造形材における静的強度から疲労限を定量的に予測する関係式を導出し、レーザー金属積層造形における疲労設計指針の構築を目指す。これらの計画は、申請書に記載した計画とほぼ同様で、大幅な計画の変更は今のところ検討していない。
|
| 次年度使用額が生じた理由 |
（理由）HIP処理において、非常に効率的に材料を準備することができたため、当初予定していた金額よりも安価に実施することができたため。
（使用計画）次年度での若干の計画変更に伴い新たに必要となる消耗品を購入する。
|
