本研究ではこれまでに、リン酸三カルシウムの粒子が分散したマグネシウム合金基複合材料を開発することができている。また昨年度は、開発した複合材料に対して、超塑性マイクロ加工を行うことができた。今年度は、開発したマグネシウム合金基複合材料の加工品の評価を行った。 マグネシウム合金基複合材料、およびマグネシウム合金(比較用)から、超塑性現象を利用して作製したマイクロ加工体について、表面状態を走査電子顕微鏡で観察した。マグネシウム合金製のマイクロ加工体は、極めて滑らかな表面状態となっていた。一方、マグネシウム合金基複合材料製のマイクロ加工体は、表面の一部に荒れ(凹部のある領域)が観察された。凹部の表面に粒状のものが観察されたことから、マグネシウム合金基複合材料中のリン酸三カルシウム粒子の存在が表面荒れをもたらしたと推測される。無潤滑でマイクロ加工を行ったことが一因であると考えられた。マグネシウム合金基複合材料製のマイクロ加工体と、マグネシウム合金製のそれでは、上記のように表面状態に違いがあったものの、形状はどちらも適切に出来上がっていることが走査電子顕微鏡での観察により確認された。 開発したマグネシウム合金基複合材料に関してin-vivo(生体内)での材料評価を模索するため、骨に埋植するのに適切な形状(釘状)にマグネシウム合金基複合材料を加工した。マイクロCTにて表面精度や内部のリン酸三カルシウム粒子の分散状態を観察したところ、不具合のないものに仕上がっていることが確認できた。
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