研究課題/領域番号 |
16K06817
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研究機関 | 函館工業高等専門学校 |
研究代表者 |
寺門 修 函館工業高等専門学校, 物質環境工学科, 准教授 (90402487)
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研究分担者 |
葛原 俊介 仙台高等専門学校, 専攻科, 准教授 (60604494)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 金属回収 / 液相吸着 / 海藻 / 昆布 |
研究実績の概要 |
北海道において豊富に獲れる海藻類の中で、現在廃棄されている昆布の仮根や、昆布切削時の加工くずなど、他への利用が極めて困難な未利用資源の利活用を目的とし、バイオソープション(生物吸着)法による金属イオン吸着剤の開発を行うことを本研究の目的としている。 研究の当初計画に従って、初年度は、真昆布ならびにがごめ昆布粉末試料に対して、Cuイオンの吸着等温線の測定を行った。予備的検討から、60℃において測定を実施したところ、Cu吸着等温線は25 mg/Lを境に2段階の吸着挙動を示し、低濃度側はLangmuir型で表される化学吸着として特徴づけられることが明らかとなった。また、高濃度側では濃度に比例して吸着量が増加する様子が認められた。この理由として、低濃度領域における試料表面のゲル層形成が考えられる。ゲル層が形成されると、更なる銅イオンの吸着はゲル層内の拡散を伴うため、拡散支配になると考えられる。以上から、低濃度側ではLangmuir型で速やかにゲル層が形成され、高濃度側では溶液の銅イオン濃度に比例して試料内部への拡散し、吸着量が増加すると考えられる。また、低濃度側で起こる吸着現象については昆布の種類によって飽和吸着量に大きな差が生じた。この点について、電位差・電気伝導度滴定を実施し、吸着サイト量を定量的に明らかにした。真昆布はがごめ昆布よりもアルギン酸量が多いと考えられるが、滴定からも裏付けられた。 これらの結果を、日本水産学会ならびに高専シンポジウムにて公表した。後者においては、ポスター発表を行い、277件の発表の中から10件に与えられるポスター発表賞の一つに選ばれた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実績の概要欄において記載したように、真昆布ならびにがごめ昆布粉末試料に対して、Cuイオンの吸着等温線を測定し、イオン交換サイト量などのデータと合わせて学会発表をすることができた。一方、研究計画書に記載した前処理プロセスの最適化については、塩化カルシウム処理の予備的な検討を行った程度で、十分な知見を得ることができなかった。ただし、学会発表においてポスター発表賞に選出されるなど、研究成果に対して高い評価を得ることができたことなどを考慮すると、本研究はおおむね順調に推移していると自己評価する。
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今後の研究の推進方策 |
現在までの進捗状況欄において自己評価したように、本研究はおおむね順調に推移しており、現時点では、当初予期していないことなどは発生していない。研究分担者とは密に連絡を取っており、研究推進上の課題などを早期に解決することができている。したがって、次年度以降の研究計画の変更はせず、引き続き当初計画に従って、研究を推進していく。
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