研究課題/領域番号 |
16K06826
|
研究機関 | 同志社大学 |
研究代表者 |
吉田 幹生 同志社大学, 理工学部, 准教授 (60444650)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
キーワード | 粒子流動性 / 流動性改善効果 / 微小粒子添加 / 被覆状態 |
研究実績の概要 |
粒子径を小さく保ったまま流動性を改善する手法の1つに微小粒子添加法がある。しかし,本手法は添加条件によっては流動性が悪化する場合も有り,その改善メカニズムの詳細は明らかになっていない。この理由の1つとして,本手法のほとんどの報告が添加粒子の被覆状態が均一あるいは不均一程度の定性的評価に留まり,被覆状態の定量化ができていないことが挙げられる。そこで,本研究では添加粒子の被覆状態を積極的に変化させ,それらの試料に対して被覆状態の定量的評価と流動性試験を行い,微小粒子の被覆状態が主粒子の流動性改善効果に及ぼす影響を検討した。 今年度は被覆状態を変化させる方法として,液体中での粒子表面電位の利用に着目した。なぜなら,シリカなどの酸化物は,液体中のpHによりその表面電位を容易に変化させることが可能なためである。また,微小粒子は空気中に比べて,液体中の方が静電気力/付着力の比が大きくなるため,被覆状態の多様性を生み出しやすいと考えたためである。そこで,主粒子と添加微小粒子には共にシリカを用い,被覆状態変化のための混合は5条件(乾式混合のみ,湿式混合のみ(pH2,pH10),乾式混合後に湿式混合(pH2,pH10))で行った。なお,予備実験により水溶液中のpH2とpH10のシリカ粒子の表面電位のオーダーが1桁異なることを確認し,そのpHの調整にはHClとNaOHを用いた。各被覆状態の走査型電子顕微鏡と原子間力顕微鏡の結果より,液体中のpHの影響と混合状態の違いによって,被覆状態を変化させられることが確かめられた。しかし,流動性改善効果に対しては,一度液体に浸漬させると被覆構造の影響を受けにくくなることが示された。これは,乾燥時に液架橋力の影響を受けて微小粒子が主粒子に強固に付着し,その添加粒子の付着強度が流動性改善効果に影響を与えているためであることが示唆された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
液体中での粒子表面電位の変化により微小粒子の被覆状態を変化させられたが,一度液体に浸漬させると被覆状態が流動性に及ぼす影響が小さくなり,被覆状態が粒子流動性向上効果に及ぼす影響の解析が検討しにくくなったため。
|
今後の研究の推進方策 |
液体中ではなく,空気中において主粒子と微小粒子の混合を行う。空気中で微小粒子の被覆状態の変化を大きくするため,混合時に用いる装置,または,その混合条件(強度や時間)を変化させ,それらの被覆状態が流動性に及ぼす影響の検討を行う。
|